カテゴリー別アーカイブ: 3Dプリンター 市場

2012年は3Dプリンター元年と言われ、2013年はその市場が一気に拡大した一年となりました。3Dプリンターには過度な期待が寄せられている側面もありますが、市場は着実に成長していっています。

3Dプリンターで1年で20万円の節約になるって本当?

テッククランチからの記事だが、3Dプリンターを活用すると、1年で約20万円の節約ができる、というミシガン工科大学の研究者が発表した研究の記事があった。あくまで一般消費者の家庭にあたえる影響を予測した物なので、現時点では実際にそのような節約が発生していることはあまりないだろう。調査結果によると、1年間に20個の様々なオブジェクトを出力した場合、控えめにみても、年間で約30,000円の節約になると見積もられている。最大ではなんと20万円。Cubeが約17万円で販売されていることを考えると、1年で回収できるROIだ。本当なのだろうか?実際に3Dプリンターを購入してから様々な物をプリントアウトしている私自身の実体験から述べるとすると、まだまだ実生活で代用できるようなオブジェクトを3Dプリンターからプリントアウトできているかというと、そうでもない。完成度/強度/使い勝手/デザイン性等を考慮すると、日常生活の中でふと必要になった物などは、3Dプリンターでデータを作成して、もしくはThingiversのようなサイトからデータを探し出して3Dプリンターで出力するよりは、近所のホームセンターで購入した方が早いし、時間等を考慮すれば、ROI的にもそっちの方が優れている。
近い将来、本当に必要な物等は、3Dプリンターで代用できるようになるかもしれないが、現時点においては、
・3Dプリンターの性能。
・フィラメント等の素材の品質と価格。
・出力するデータそのもの。
等の要素が発展途上であることを考えると年間20万円の節約というのは、ちょっといいすぎかも。でも考え方によっては、例えば子供のいる家庭で、子供がいろんなおもちゃほ欲しがる場合、それらを全て3Dプリンターからの出力オブジェクトで代用すれば、それなりの節約額になるのかもしれない。ただ、私が子供のころに、年間20万円ものおもちゃを購入してもらった記憶はなく、思い出してみても、ファミコンのソフト数本、とかなので、年間1万円から2万円くらいだった。ちなみに今現在、私自身が3Dプリンターで出力したもので、実際に使っている物は、コップ等の食器程度。それも食事用などではなく、洗面台で歯磨き用に使っている。フィラメントの素材のコストや、出力にかかった時間等を考えると、100円ショップで購入した方が早くて安いのかもしれないが、3Dプリンティングは現時点においてそういうものと比較するものではないのかもしれない。
100円ショップで購入するよりも、もっと多くのわくわく感や、様々な気付きや学びが得られ、多くの人が様々な未来を予測することが現時点における3Dプリンターが持っているポテンシャルなのかもしれない。

3Dプリンター活用研究会が発足

大阪商工会議所ってご存知ですか? 略称:大商(だいしょう)は、主に大阪市内に事業所をおく企業/団体で運営されている商工会議所である。しかし大阪市内だけではなく、関西を代表する経済団体として機能している。そんな大阪商工会議所は、今回近畿圏の商工会議所と共同で「3Dプリンター活用研究会」の発足を発表した。3Dプリンター活用研究会とは一体何か?3Dプリンターを活用して中小企業の国際競争力強化を目指すらしい。
今回の取り組みは、大阪だけではなく、参加メンバーは、近畿商工会議所連合会(福井県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県の71の商工会議所で構成される。8月22日には第1回研究会を開催するもよう。そこでは同研究会の設立の趣旨説明や講演などが行われる。「3Dプリンター活用研究会」とはその名前の通りだが、やはり話題先行の3Dプリンターを取り巻く市場を表しているのではないだろうか。とはいえ、こういう取組の中から、新たな3Dプリンティング市場が形成されることを期待している。

ナイキやアディダスがプロトタイプ作成に3Dプリンターを活用

近年様々な工業製品シーンで3Dプリンターが活用されているが、ナイキやアディダス等のスポーツ用品メーカーも、シューズ等の開発において、試作品を3Dプリンターで作成している。アメリカのオレゴン州にあるナイキ本社では、アメフトのプロ選手向けシューズ「ヴェイパー・レーザー・タロン」の開発においても3Dプリンターが活用された。ドイツのアディダスでも同様の取り組みが行われている。これまでは試作品を12人の技術者が手作業で作っていたが、3Dプリンターを使えば2人ですむという。
スポーツシューズは、ファッション性が高く、古くは、元NBAのスター選手、マイケルジョーダンのエアジョーダンはシリーズ化され、世界的に爆発的な人気商品となるなど、有名プロスポーツ選手のシグネチャーモデル等は、非常にデザインが重要な要素となる。また日本国内では、人気のairmaxを、履いているその場で脱がせて奪い取るairmax狩り等も横行した。このような市場においてヒット製品を生み出すのに今後ますます3Dプリンターは活用されるだろう。