カテゴリー別アーカイブ: 3Dプリンター 家庭用

ここ近年の3Dプリンターブームは、なんといっても十数万円で購入することが可能となった家庭用の3Dプリンターの登場にあります。手ごろな価格帯や、机の上におけるデスクトップサイズであったり、比較的安価に手に入るフィラメント等の材料等、近年の技術革新や市場の成長には著しい物があります。数年後には、一家に一台3Dプリンターの時代が来るかも。

2万円で買える3DプリンターThe Microは安くて小さいだけなのか?

4月7日(月)にキックスターターに登場した小型の家庭用3DプリンターThe Microは、わずか24時間程度で1億円もの支援金を集め、6日後の4月13日時点では、なんと2億5千万円以上の支援金となっています。これまでも数多くの3Dプリンターが登場してきましたが、The Microはなぜここまで注目されているのでしょうか?
そのヒントは、The Microがキャッチフレーズとしている「真にコンシューマー向けの3Dプリンタ」というものが言い表しているかもしれません。2013年は数多くの家庭用3Dプリンターが登場し、多くのユーザーの元に届きました。家庭でも3Dプリントができる感動をみんなが味わったと思いますが、それと併せていくつかの不満もあったと思われます。これらの不満に真正面からアプローチしたのがThe Microであり、それが「真にコンシューマー向けの3Dプリンタ」というキャッチフレーズです。ではその不満とは何でしょうか?

  • 価格
    やはり一番の不満は価格かと思います。これまで数百万円もした3Dプリンターが、数十万円で買えるようになったと言えど、数十万円も出すなら、このような物に興味を示すクラスターには、スマートデバイスやウェアラブルPC等、その他にも欲しい物が次から次へと登場しています。そん中、2万円と言われればこの価格を否定できる人はいないでしょう。
  • デザイン
    既に2万円程度の3Dプリンターは存在しています。しかしそれらは組み立て式であったり、デザインにおいても粗野な物が多く、値段相応のデザインでしかありませんでした。それらと比較すると、The Microはデザインにも優れ、カラーバリエーションは5つも用意しています。
  • 大きさ
    これまでの家庭用3Dプリンターはそれなりの大きさで、かなりの場所をとる物が大半でした。大き目の造形物を出力するには、それ相応のプラットフォームのサイズが必要となり、その結果3Dプリンター本体のサイズは大きくなってしまいます。しかしそれなりの大きさの物を出力しようとした場合、数時間、場合によっては10時間以上もかかる場合があります。数時間動かしていて、途中で出力エラーということもあります。フィラメントの量もかさみます。そのような中で、そこまで大きな物を頻繁に造形することはあまりない、ということにみなさん気付いたのではないでしょうか。
    ということは、造形物の大きさよりも、3Dプリンターの小ささの方が重要と感じるようになってきました。
  • フィラメント
    これはThe Microにおいて特筆すべき点です。大ヒットした3D SystemsのCubeは専用カートリッジ式の3Dプリンターとなっており、これが非常に評判の悪いものでした。1つのカートリッジにはフィラメントが350グラム程度しか入っておらず、それで6,300円もします。ちょっとした物を1つ作るだけでもフィラメント代だけでも数百円もしてしまいます。こんなにコストパフォーマンスが悪いと、造形で失敗することもできず、気軽に何でも出力してみようという気分にはなりません。
    この課題に対して、1kg3,000円程度の市販のフィラメントをCubeで使うためのフィラメントハックまで登場し、多くのCubeユーザーが試しました。しかしこのフィラメントハックもファームウェアがver.2.05になってからは使えなくなってしまいました。そう、3D Systemsは蛇口を安価で提供して、水代で稼ぐ水道モデルを徹底しています。カラープリンターとインクで悪名をはせたあのビジネスモデルをそのまま3Dプリンターに持ってきました。カートリッジで稼ぐビジネスモデルです。最近評判の家庭用3Dプリンターダヴィンチも同様の専用カートリッジモデルです。
    しかしそのモデルに真っ向から挑んだようなThe Micro。もちろんThe Microの専用フィラメントを使うのですが、通常の市販のフィラメントも問題なく使えるようです。そのための外部ポートを設けており、そこに市販のフィラメントを差し込んで簡単に使えるようになっています。むしろ市販のフィラメントでも便利に使えるように配慮されているのです。
    これは、これまでの3Dプリンターが、市販のフィラメントを絶対に使えなくしていたのとは真逆のアプローチで、非常に評価できることなのではないでしょうか。しかも本体価格はCubeが17万円なのに対してThe Microは2万円(キックスターター価格)。ABSやPLAに加えてナイロンや Chameleon等の素材も使えます。
  • ソフトウェア
    たいていの家庭用3Dプリンターは箱から出してから、各種の設定が必要になります。造形プラットフォームを水平にしたり、プリンターヘッドとプリンターパッドの距離の設定やプリンターヘッドの温度を設定したり。しかしThe Microはプリントヘッドを水平にする自動水準測量機能とオートキャリブレーション機能を有しており、またプラグアンドプレイで各種セットアップ等も最小限となっています。
    付属の専用ソフトウェアは、クリックやドラッグ等で簡単に操作することができ、初心者にも非常にやさしい設計です。また上級者向けには、オープンソースのモデリングソフトからの出力も可能で、対応ファイルはstl以外にもobjをサポートしておりLinuxもサポート予定となっています。
  • 積層ピッチ
    3Dプリンターの造形品質を語る上で重要な積層ピッチは0.05mm。Cubeが0.2mmということを考えると、0.05mmがいかにすごいかが分かると思います。恐らくこれは造形サイズが小さいThe Microだからこそ製品コンセプトとして合っているのかと思われます。
    もしこれが大きなサイズも造形できる3Dプリンターなら、0.05mmで造形するとなると、かなりの時間がかかってしまいます。例えば、積層ピッチ0.2mmで造形したデザインデータが5時間かかった場合、それと同様の大きさの物を出力しようとすると、4倍の20時間もかかってしまいます。プリンターヘッダーの動きのスピード等もあるので単純に比較はできませんが、それでも数倍の時間になってしまうでしょう。
  • 欠点
    ここまで見ると、まさに最強/最高の家庭用3Dプリンターですが、欠点はないのでしょうか?キックスターターでの199ドルで購入できる250個の枠は既に埋まっていますが、実際の一般販売価格はいくらくらいになるのでしょうか?299ドル(3万円)以内であれば非常に評価できる価格ですが、まだ詳細は発表されていないようです。ちなみに海外への送料は50ドル~75ドル程度とのこと。
    製品の発送時期は、キックスターター等の一つの課題でもありますが、かなり先となっています。299ドル枠のメンバーには2014年11月。199ドル/249ドル枠のメンバーには2015年2月となっています。来年の2月となるとかなり先ですよね。その頃にはMicroよりも魅力的な3Dプリンターが登場しているかもしれません。
    しかし最速で入手できる899ドルの支援枠は、2014年8月発送となっています。この最速入手価格899ドル(約9万円)は、3Dプリンター本体以外にもフィラメントやその他の特典も付いているので、この値段が市販価格の参考になるかはわかりませんが、もしかしたら199ドルという価格は、プロモーションの為の価格ということもありえるかもしれません。
    しかし全世界に199ドルというインパクトで登場したThe Microが、一般市販価格が5万円以上となってしまっては、おそらくその魅力は半減してしまって、通常の3Dプリンターの中にうもれてしまうでしょう。そう考えると、やはり299ドルくらいを期待したいところです。
    また3Dプリンターで重要な物は使い勝手。よくあるフィラメント詰まり等の出力失敗等はどれくらい起こるのか、それともほとんどないのか、その辺も気になるところです。
    しかし価格をここまで下げて、且つ水道水モデルでないThe Microで彼らはどのようにして収益を出していくのでしょうか?
    The Microを製造販売するM3D社の創業者デイヴィッド・ジョーンズ氏は「3Dプリンターが安価になり、たくさんの人の手にわたったときにどういうことが起こるのか。われわれはその可能性の表面をかすったにすぎない」と語っています。

 

現時点で公開されている情報で判断する限りにおいては、総合的に最強の家庭用3Dプリンターかと思われます。しかし何故日本からはこのような製品が出てこないのでしょうか?
特に新しい技術や高度な技術を採用しているわけではなく、やはり製品コンセプトの作り方や、この値付けで売れるビジネスモデルの設計、プロモーションや売り方の戦略等が長けているのではないでしょうか。
この品質/価格を実現するに際しての収益モデルはどのようになっているのか?このような製品が登場してくる背景には、多くのVCや技術者等を中心としたシリコンバレー等のエコシステムは言うまでもなく大きく影響していると思われます。そう考えると、日本はまだまだアメリカから数周遅れたような環境にあるのかもしれません。

超速報!!超小型/高機能/低価格と3拍子揃った3Dプリンター「The Micro」がキックスターターについに登場!

先日当サイトでもお伝えして大反響だった、小型で低価格な家庭用3Dプリンター「The Micro」がキックスターターについ先ほど登場しました。当初は2014年3月中にキックスターターに登場と発表されていましたが、若干遅れていたようで、つい先ほど「The Micro is now available on Kickstarter!」というメールが届きました。
早速キックスターターを覗いてみたところ、すごい勢いで支援金が集まっているようです。この記事を書き始めた時は500万円くらいだった支援金が数分後の今では既に1,000万円を超えています。リアルタイムで支援金が増えていっているこの勢いを見ると、いかにこの3Dプリンターの注目が高いかが分かります。
「The Micro」の詳細なスペック等は、引き続きレポートしていきたいと思います。

今すぐ使える低価格な3Dプリンターが欲しければ「ダヴィンチ1.0」

家庭用3Dプリンターの低価格化が止まりません。今回ご紹介する3Dプリンターは、台湾のメーカーXYZプリンティングが製造する「ダヴィンチ1.0」です。価格は69,800円、フィラメントは専用カートリッジで3,280円となっています。アメリカでは$499(約51,000円)で販売されているようです。では、現在公開されている情報をベースにみていきましょう。

基本スペック

  • 造形方式:FDM方式(熱溶解積層法)
  • 最大造形サイズ:200mm x 200mm x 200mm
  • 本体サイズ:幅468mm x 高さ558mm x 奥行き510mm
  • 重量:約23.5kg
  • 積層ピッチ
    -FINE:0.1mm
    -STD:0.2mm
    -SPEED:0.3mm
    -ULTRA FAST:0.4mm
  • 液晶パネル:カタカナによる日本語表示に対応。
  • プリンターヘッド:シングルノズル
  • プリントスピード:150mm/s
  • 利用フィラメント径:1.75mm
  • 利用フィラメント:ABS
  • ビューワーソフト:XYZware
  • 対応データ:STL/XYZ
  • 対応OS
    -WindowsXP/7以降
    -Mac OS X 10.8以降

フィラメント

  • 様式:専用カートリッジ
  • 素材:ABS
  • 価格:3,280円
  • 重量:900g(カートリッジ全体)
  • 内包フィラメント重量:600g
  • 1Kgあたりの価格:約5,000円

面倒な設定や調整等が必要無く、すぐに使える事がメリットである専用カートリッジ式の3Dプリンターとしては、比較的コストパフォーマンスの良い物なのではないでしょうか。同様に専用カートリッジ式のCube2ndジェネレーションは、内包フィラメントが350g程度で6,300円なので約17,000円/kgであることを考えると、5,000円/kgのお得さは理解いただけると思います。

販売

  • Web通販
    -Amazon
    -楽天
    -ビックカメラ
    -Yahoo!ショッピング
  • 店頭
    -ビックカメラ有楽町店
    -ビックカメラ新宿西口店
    -ビックカメラ池袋本店パソコン館
    -コジマ×ビックカメラ梶ヶ谷店
    -ソフマップ秋葉原本館 

組立式ではなく完成品で、カートリッジ形式ということは、購入後難しい調整や設定等も不要ですぐに使うことができると思います。実際に使っていないので、よくあるフィラメント詰まりや出力ミス等がどの程度起こるのかはわかりませんが、保障も本体は1年ついているので、公開されている情報から判断すると、初心者にとっては総合的にオススメな製品かと思われます。

超小型/高機能/低価格(2万円以下)と3拍子揃った3Dプリンター「The Micro」

先日ニューヨークで開催された3D Print Showで、超小型の3Dプリンタ「The Micro」が発表されました。これまでも小型の3Dプリンターはいくつかありましたが、「The Micro」は超小型/高機能/低価格、とトータルで見ても非常に完成度の高い製品となっています。3Dプリンター本体の筐体サイズは185mm×185mm×185mmと超コンパクト。そのため最大造形サイズも幅109mm×奥行き113mm×高さ116mmと小さいですが、ちょっとした物を作るには十分なサイズでしょう。

フレームはカーボンファイバーを採用しており、重量も1キロと超軽量。積層ピッチは50~350μm(0.05mm~0.35mm)、利用するフィラメントは直径1.75mm。ABS/PLA/ナイロン/木材フィラメント等、様々なフィラメントに対応しており、Micro Motion Sensor Chipにより、15μm(0.015mm)のX/Y位置決め精度を実現しています。また付属の専用ソフトウェア以外にも、上級者はオープンソースソフトウェアを使用することもできるようです。プリント中の反り返り等を防ぐ為に、温度を適切に保つセラミックヒーターも備えており、対応フォーマットはSTL以外にもOBJ/XYZにも対応。省エネにもこだわっており、10分の利用で15W程度という省電力設計にもなっています。

このように聞くと、小型のわりにはかなりハイスペックで、デザインも非常に洗練されており、採用されている素材等からもしっかりした作りのようなので、それなりの価格かと思いきや、なんと199$~299$の価格帯を予定しているとのことです。3月からキックスターターで資金調達を開始する予定ですが、そこで詳細な販売価格等も発表されるでしょう。

1台20,000円を切る価格であれば、5台購入しても10万円以下。5台同時に動かして複数のパーツを同時に出力して、それぞれのパーツの出力が終わったら、パーツを組み立てて出来上がり、みたいな使い方もできそうですね。国産の3DプリンターSCOOVOが189,000円、Cube3Dプリンター(現行モデルの2nd Generation)が168,000円ですが、積層ピッチや使えるフィラメントの種類等を比較する限りでは、「The Micro」の方がトータルで上回ってるように感じます。実際の出力精度や品質、スピード等も比較してみたいですよね。造形サイズはSCOOVOやCubeの方が大きいですが、もしぞれだけの差でこの価格差としたら、みなさんはどちらを選びますか?3D Systemesは、2014年の第2四半期に10万円を切るCube3の販売を控えています。SCOOVOを製造販売するオープンキューブ社も、次の手を考えているかもしれませんね。是非とも国産メーカーにも頑張ってほしいところです。

ここまで小さくて、高機能で、低価格な3Dプリンターが登場し始めると、10万円以上する家庭用3Dプリンターは、その他の圧倒的な差別化が無い限り、今後市場に受け入れられることは厳しくなっていくのかもしれません。2014年3月に「The Micro」がキックスターターに登場するとのことなので、そこでの詳細を待ちたいと思います。「The Micro」については引き続きレポートしていきたいと思います。

10,000円以下で買える3Dプリンター?3Dペンのまとめ

まだまだ手ごろな価格とは言えない3Dプリンター。いきなり10万円ものお金は出せない、そんな方には手ごろな価格で3Dプリンターの原理が理解できる3Dペンはオススメかもしれません。既に3Dプリンターを持っている方であれば、3Dペンの原理は簡単に理解できるでしょう。3DのCADデータでコンピューターを制御して造形するか、あなたのイマジネーションと手先の器用さで造形するか。通常の3Dプリンターだと、ソフトウェアのセットアップや、3Dプリンター本体の設定等が必要ですが、ペン型3Dプリンターだと、ペン内部で樹脂(フィラメント)を加熱して溶かして押し出せば、そのまますぐに使う事ができます。最初の加熱に数分かかりますが、その後はペンのボタンを押しながら溶けたフィラメントを押し出して空間に描くだけ。ペン内部で溶けて外部に押し出されたフィラメントは、平面だけではなく空間にも描くことができます。

3Dペンは、2013年にキックスターターに「3Doodler」が登場して、その後いくつかの3Dペンが登場しています。当初は3万ドル(約300万円)を集めようとしてキックスターターに登場した3Doodlerは、なんと234万ドル(約2億3,400万円)の支援を集めてしまいました。3Doodlerは、空中に絵が描けるというコンセプトで大注目を集めました。ちなみにdoodleは「イタズラ書きする」という意味。

それに続けと登場したのが「3Dsimo」。「3Dsimo」は3Doodlerよりも扱える素材が多く、PLA/ABS以外にもPVA/ナイロン等も使うことができます。しかし「3Doodler」同様にクラウドファンディングサイトIndieGoGoに登場した「3Dsimo」は目標額20,000ドル(約200万円)に対して、63万円しか集まらずプロジェクト成立には至りませんでした。そこで「3Dsimo」はデザインを変更して再度支援プロジェクトをIndieGoGoに立ち上げました。1,000ドル(10万円)をプロジェクト成立額として設定したプロジェクトは最終的に11,058ドル(約110万円)の支援を集めてプロジェクトが成立しました!細かな性能等も向上させたのかもしれませんが、やはりデザインが洗練された事が大きいのではないでしょうか。確かに新たな「3Dsimo」は、これなら欲しい!と思ってしまうようなデザインです。
その他にもいくつか3Dペンが登場しているので、以下にまとめてみます。

3Doodler

  • 3Doodler:アメリカ
    ・価格:99ドル(9,900円)
    ・材料:PLA/ABS
    ・寸法:180×24×24mm
    ・重量:200g
    ・http://the3doodler.com

3Dsimo-pen

  • 3Dsimo:チェコ
    ・価格:85ドル(8,500円)
    ・材料:PLA/ABS/PVA/ナイロン
    ・長さ:170mm
    ・重量:180g
    ・http://3dsimo.otherwise.cz

yaya 3d pen

  • YAYA 3D PEN:中国
    ・価格:120ドル(12,000円)
    ・材料:ABS
    ・寸法:190×48×43mm
    ・重量:150g
    ・http://www.3dyaya.com

wanhao 3d pen

  • WANHAO 3D pen:中国
    ・価格:137ドル(13,700円)
    ・使用材料:
    ・寸法:180×50×50mm
    ・重量:
    ・http://www.wanhao3dprinter.com

3Dペンは3Dプリンティングにおける一つのカテゴリーになっていくのでしょうか。

2014年2月の重要特許期限切れで3Dプリンターが爆発的に拡大!

3Dプリンティング技術は特許の塊とも言われています。現在家庭用として普及している3DプリンターはFDM(Fused Deposition Modeling)法となっています。FDM方式(熱溶解積層法)とは、その名の通りフィラメントを熱で溶かしてZ軸方向に積層して造型する方式。この特許は3DプリンターのリーディングカンパニーStratasys社が保有していましたが2009年に特許期限が切れると、RepRapや3Dシステムズ社のCUBEやMakerbot社のMakerbotReplicator等が続々と登場して、一気にホームユースの低価格3Dプリンターが普及しました。特許が切れるまでは3Dプリンターは数百万円もした為、一般人が入手することはほぼ不可能でしたが、特許が切れた今では数万円の3Dプリンターも数多く登場し、多くの個人ユーザーがモノづくりを楽しんでいます。

そして2014年2月には、より精度の高い先進的な造形方式である「レーザー焼石法」の特許がついに期限切れを迎えます。「レーザー焼結法」SLS法(Selective Laser Sintering)とは、粉末状の材料にレーザー光線を高出力で照射して焼き固める造形方式です。
造形プラットフォーム内にある粉末にレーザー光線を照射させて焼結させ、焼き固まればプラットフォームを下げます。この作業をレイヤー数分繰り返すことにより造形していきます。
「レーザー焼結法」は使用可能な素材の種類が多く、ナイロン等の樹脂素材以外にも、チタン/銅/ニッケル等の金属素材が利用できることも特徴です。また複雑なデザインの造形や金属素材での造形が可能な為、より実用的な物を作ることができます。また下から積層していくFDM方式では、造形物が造形中に倒れないように、ラフトやサポート部分の出力も必要ですが、「レーザー焼結法」は硬化後に造形物が沈まないのでラフト等のサポート部位の出力は不要です。造形後のサポート除去等はそれなりに手間な作業なので、これは大きいのではないでしょうか。

2013年は家庭用3Dプリンター元年でもありましたが、その市場をもう一段階成長させるには、やはり造形物の精度/品質/素材/造形スピード等の向上にあると思われます。FDM形式の家庭用3Dプリンターでフィギュアを作ることはできますが、実際には品質的には厳しい物があります。しかしレーザー焼結法では複雑なデザインの造形も可能な為、フィギュア等もかなりの精度で出力が可能になり、まさに私たちがイメージしている3Dプリントを自宅で出来るようになるのかもしれません。
2009年に特許期限切れを迎えたFDM以降の市場の拡大が示した通り、レーザー焼結法の特許切れにより3Dプリンター市場はより大きく成長すると思われます。
2014年中に10万円を切る「レーザー焼結法」の家庭用3Dプリンターが登場するのか。おそらく多くの3Dプリンターメーカーは、2014年2月の特許期限切れに合わせて「レーザー焼結法」の家庭用3Dプリンターの開発をすすめているのでしょう。

1万円のチョコレート3Dプリンターが登場!

食品を3Dプリンティング技術で作り出すフードプリンターが2013年はいくつか登場したが、年が明けて2014年、食品関連の3Dプリンターのニュースが相次いでいます。
今年のCESに登場した「ChocaByte」は、Quinn Karaitiana氏によって開発された99ドルの家庭用チョコレート3Dプリンター。専用チョコレートを付属のカートリッジに入れて、カートリッジをお湯やレンジで温めてチョコレートを溶かします。カートリッジ内のチョコレートが溶けたら3Dプリンターにセットして出力開始。市販のチョコレートが使えない点が残念ですが、チョコレートカートリッジは4つで1,000円と、こちらもお手頃価格。

また3Dプリンターのリードカンパニー、3Dシステムズも今年のCESでフード3Dプリンター「ChefJet」を発表しています。「ChefJet」はカートリッジに砂糖/香味料/着色料/水を入れて飴や砂糖菓子を作ることができます。3dprinter ChefJet「ChefJet」は白黒のモノクロフードプリンターとなっており、価格は約50万円。またカラー出力が可能な「ChefJet Pro」は約100万円となっており、共に、2014年の下期に発売が開始される予定となっています。
宇宙食を3Dプリンターで作る研究をNASAが進めていたり、ピザを3Dプリンターで作ったり、3Dプリンティング技術は食べ物の市場においても、一つのカテゴリーとなっていくのかもしれません。

MakerBot社が新モデル3機種を発表!

アメリカのラスベガスで開催されているCESでは、3Dプリンターの新モデルが続々と発表されています。昨日お伝えした3DシステムズのCUBE3に続き、家庭用3DプリンターのリーディングカンパニーMakerBot社が、MakerBot Replicaorの新モデル3機種を発表しました。MakerBot社は、3Dシステムズ社のライバル企業でもあるストラタシス社に昨年買収されています。大手2社による家庭用3Dプリンター市場の覇権争いが非常に熱いです。
今回発表された3つの新モデルは、
MakerBot Replicator Mini:$1,375
MakerBot Replicator:$2,899
MakerBot Replicator Z18:$6,499
の3機種です。では順番に見ていきましょう。

  • MakerBot Replicator Mini:$1,375

makerbotminiMakerBot Replicator Miniはこれまでの初代MakerBot Replicator/MakerBot Replicator2・2Xの廉価版モデル。MakerBot Replicator2Xが28万円だであったが、それよりも約14万円も安くなっています。こちらのモデルの特徴は簡単操作のエントリーモデルとなっており、簡単に組み立てられるなど、初心者にもやさしい製品となっています。新たな機能としては、プリンタヘッドの交換が可能になっており、フィラメントの残量を自動で検知し、スマートフォンに通知する機能も実装しています。また今回のモデルの目玉は、3Dプリンターのプラットフォーム内にカメラが内臓されており、スマホ等で造形の進捗等を確認することができます。3Dプリンターは、少しの大きさの造形物でも数時間かかり、場合によってはエラーになっていたり、フィラメント詰まり等が起こるので、頻繁に順調に造形されているかを確認する必要がありました。朝出かける前に出力設定をして自宅に戻ってきたら完成、というような出力をしていた人も多いとお思いますが、自宅に帰ってきたら、エラーで止まっていた、出力が失敗していた、等の経験はあるかと思います。そのような課題に対してのMakerBotからの回答ということになるのでしょうか。プリント中の様子を撮影してソーシャルメディアに共有する機能もあるようです。Thingiverseをより成長させようという戦略かもしれません。

  • MakerBot Replicator:$2,899

makerbotMakerBot Replicatorは、これまでの初代MakerBot Replicator/MakerBot Replicator2/MakerBot Replicator2Xの後継機モデルになります。これまでは2や2X等のようにVerナンバーがふられていましたが、今回のモデルはシンプルに「MakerBot Replicator」となっています。世代でいうと、初期モデルからは第5世代のモデルにあたります。MakerBot Replicator2よりも11%大きなサイズの造形が可能で、価格は約29万円となっています。

  • MakerBot Replicator Z18:$6,499

makerbotZ18MakerBot Replicator Z18 はプラットフォームが大きく、大きな物を出力することができます。家庭用3Dプリンターで、横:30.5cm/縦:45.7cm/奥ゆき:30.5cmというのはトップクラスの大きさではないでしょうか。3.5インチの液晶ディスプレイを有しており、プリントプレビューやプリント状況の確認、セットアップ等が画面で行えます。65万円という価格はちょっと高いような気がしますが、それなりの価値はあるのでしょうか。
3DシステムズのCUBE3に続いて、MakerBot社(ストラタシス)もCESに合わせて新モデルを投入してきました。2014年もますます3Dプリンター市場は盛り上がっていきそうです。

3Dシステムズから10万円以下の新モデル「CUBE3」が登場!

現在、アメリカのラスベガスでITおよび家電関連の総合展示会である「CES」が開催されていますが、「CES」の目玉の一つとして3Dプリンターが注目されています。そんな「CES」で3Dシステムズ社が新型の家庭用3DプリンターCUBE3を発表したようです。現行のCubeがいつのまにか「Cube2」というラインナップになってます。デザインはよりスタイリッシュになっており、機能面でも大きく向上しいており、自動でプリントレベルが調整できる機能や、ABSとPLAを同時に組み合わせてプリントアウトすることもでき、2色までの同時プリントにも対応しているようです。
また、子供でも安全に扱えるように、発熱部分等に触れて火傷をしなような工夫もされています。Cube3例えばプリントノズルは本体に組み込まれています。現行モデルのCUBE2が17万円なので、ここまで進化したCUBE3が10万円以下で購入できるというのは、まさに3Dプリンティング市場の急速な発展を反映しているとおもわれます。現行CUBEを17万円でつい最近購入したユーザーからしたら、もう少し待ってたらよかった!と思ってる人も多いでしょう。
で、既存のCUBEユーザーなら誰もが気になるフィラメント。CUBE3は現行CUBE同様、カートリッジ式のフィラメントになるのか、それとも自由なフィラメントが使えるようになっているのかがとても気になるところ。発表されている映像や写真を見る限り、どうやらCUBE3もカートリッジ式のフィラメントとなっており、3Dシステムズ社はフィラメントで稼ぐビジネスモデルを続けていくようです。cube31Kg3,000円程度で購入できるフィラメントがあるなか、現行モデルのCUBEのカートリッジは、350gで6,300円もします。安価なフィラメントよりも約7倍も高いコストとなっているこのCUBEのカートリッジによるビジネスモデルは非常に評判が悪く、カートリッジ式は良いのですが、せめて価格を通常フィラメントの2倍程度の値段になっていることを祈りたいところです。
いずれにしても、この新モデルには期待大です!今年はより安価で操作性に優れた家庭用3Dプリンターがたくさん登場することが予想されるのでとても楽しみですね。

国産の小型3Dプリンター「BS01」がクラウドファンディングに登場

アメリカでは、新しいコンセプトの3Dプリンターが、KickstarterやIndie GoGoに登場して多くの支援者を得て市場に製品を送り出す、という一つのモデルが確立している。このような流れは、日本国内ではなかなか見受けれなかったが、ついに国産のクラウドファンディングサイトに、国産の3Dプリンターが登場した。このようなトレンドはアメリカと比較すると、丸2年程遅れているのかもしれないが、国内でもこのような動きが出始めたのは、とても良いことだろう。
今回登場した3Dプリンターは、ボンサイラボとSラボが共同開発した「BS01」。別名は、BONSAI Miniというらしい。価格は79,800円。12月6日からクラウドファンディングサイト「kibidango」で販売を受け付けるようだ。bonsaiCampfireやRedyFor等、国内のクラウドファンディングサイトの成長は著しいが、今回は新生のkibidangoを販売のプラットフォームとしている。プリンターのサイズは約25cm四方のコンパクトサイズ。
筐体カラーは、ウォームグレー、オフホワイト、フレッシュ・ベリー、アクアブルー、アップルグリーンの5色で、木製フレームを採用。と、ここまで話を聞いて写真を見たところで、あれ?何かに似ている、見たことあると思う人もいるかもしれない。そう、「MOTHMACH 3DP222」に似ている。今回のBONSAIを共同企画しているSラボは京都の会社で、小型CNCフライス盤「X3-CNC」や3Dプリンター「MOTHMACH 3DP222」を開発販売してる会社。おそらくOEM製品なのであろう。