普段よく見かける街の写真館。誰もが一度は利用したことがあると思います。単なる写真の現像利用の他にも、七五三、入学式、卒業式、誕生日、成人式、結婚式、このような記念日に写真館を訪れて記念写真を撮影したことがあるかもしれません。そんな街の写真館の3D版を開業したいと考えている人は以外と多いかもしれません。記念日にお客様にお店に来てもらって3Dスキャナーで3Dスキャニング。そのスキャニングしたデータを3Dプリンターで出力してお客様に販売。誰もが思いつくビジネスモデルですね。
2012年に期間限定で登場したOMOTE 3D SHASHIN KANは、大人気となり海外からも注目されるとりくみになりました。そういう意味ではOMOTE 3D SHASHIN KANはこのコンセプトを真っ先に実現した取組だったのかもしれません。最近では結婚式の記念に2人の晴れ姿を3Dスキャナーでスキャニングして3Dプリンターで出力してフィギュアにする人もいるようなので、高いクオリティと手ごろな価格さえ実現できればかなりの確率で成功するような気もします。
でもいったい何を揃えればよいのか?何から始めたらいいのか?そんな問いに答えてくれるようなサービス「フォトフィグ スタジオキット」が、登場しました。
フォトフィグスタジオキットは、複数のデジタル一眼レフカメラと、カメラのシャッタータイミングをプログラミングでコントロールするソフトウェアと、被写体を乗せて回転させるターンテーブル(ろくろのような物)からなる3Dスキャニングシステムです。このシステムを用いると、およそ30秒程度でスキャニングは完了します。ちなみに昨今多く登場しているハンドヘルド型の3Dスキャナーは、被写体に対して1つのスキャナーで周囲の様々な角度からスキャニングしていくため、被写体は数分間静止の状態であり続ける必要があります。
このフォトフィグスタジオキットで撮影した写真データを、クラウドサーバーにアップロード後、3Dデータ化/3Dプリント出力を、このキットを販売している「有限会社ハウスオブアート」に注文するかたちになります。では街の3D写真館スターターキットともいえる「フォトフィグスタジオキット」の中身は、どのような物なのでしょうか?
「フォトフィグスタジオキット」パートナースタジオ特価:498,000円
- フォトフィグスタジオキット専用マニュアル
- ニコンデジタル一眼レフカメラ「D5200」18-55VRレンズセット×3台
- 人物撮影可能ターンテーブル(耐荷重80kg)
- 撮影用照明(4灯式80×60cmソフトBOXディフューザー×2台)
- 撮影用蛍光灯(高明度105Wインバーター蛍光灯電球×8個)
- 背景スタンド+バック紙(ホワイト&グリーン)
- 物理レリーズ×3個
- 3メートルUSB延長ケーブル×3本、USBハブ
- 高速SDHCカード×3個
- 同時レリーズ プログラミング制御可能ソフトウェア
- カメラ設置リグ(クランプ、角度調整アーム、170-280cmフレキシブルポールのセット)
となっているようです。必要な機材等が一式揃っているというのはありがたいですよね。また専用マニュアルには様々なノウハウが詰まっていると思うので、すぐにでも始めたいという人にはお手頃価格なのではないでしょうか。
その他の費用
- データ作成料:15,000円
撮影した写真を3Dデータに編集加工してもらう費用です。 - フィギュアの3D出力費用
・150mm 9,800/1体
・200mm 19,800/1体
・250mm 34,800/1体
・300mm 59,800/1体
となってます。
初期費用は、「フォトフィグスタジオキット」498,000円。ランニングコストが、15,000円+フィギュアのサイズに応じて数万円といったところでしょうか。
例えば結婚式の新郎新婦の晴れ姿を300mmサイズで販売する場合、
・3Dデータ作成費用:15,000円×2体分=30,000円
・3Dデータ出力費用:59,800円×2体分=119,600円
計:149,600円になります。
20万円でこのプランを販売するとしたら、利益は約50,000円。年間100組の結婚式で成約に至れば500万円/年、の売り上げ規模でしょうか。20万円!?と聞くと高い!と感じるかもしれませんが、結婚式をあげたことがある人ならわかるかと思いますが、結婚式のアルバム写真は20万円とかは普通にあるので、特別高いという訳ではないですよね。ただ、アルバムも欲しいし、3Dフィギュアも欲しいとなると、アドオンで20万円はちょっと厳しいかもですね。あとウェディングドレス等は、ブーケやレース等の部分が細かく複雑な為、3Dデータ化が難しく再現度も気になるところです。
しかし、この街の3D写真館ビジネスモデルはきっと可能性があると思います。どんなビジネスも、いかにそのビジネスモデルを構築/デザインするか。このビジネスモデルが成功するか失敗するかの全ては、「高品質な3Dフィギュアを、いかに低価格で提供できるか」にかかっているかと思われます。ではその二つを実現するにはどうしたらよいでしょうか?
このようなスターターキットはノウハウ等も詰まっていてすぐに始められる等のメリットもありますが、少しでも安くしたいなら、自分で個別にそろえるのもありですよね。
ニコンデジタル一眼レフカメラ「D5200」18-55VRレンズセットは50,000円程度で購入できるので、3台購入しても15万円。もっと安いデジタル一眼にしてもよいかもしれません。その他のターンテーブルや照明機材等も5万円程度で揃えられるでしょう。
シャッタータイミングを制御する「同時レリーズ プログラミング制御可能ソフトウェア」。こちらはプログラミングができる人なら、さほど難しい物ではないと思います。
となると、イニシャルコストは20万円程度にまで抑えられます。
写真の3D化は、既にそのようなソフトはいくつかフリーソフトとしても出回ってますよね。
あとは出力代行。ShapewaysやDMM3Dプリント等の出力代行サービスを使っての出力になると思われますが、これらのサービスを直接使うと、安くなるかもしれません。
以前当ブログでも紹介したイギリスのスーパー「Asda」で始まったフィギュアを作れるサービスは、1体40ポンド(約6,300円)程度だったので、やはり高くても1体(高さ20cm程度)10,000円でそれなりのクオリティが実現できれば、結婚式等の特定のシーンに限らず、もっと気軽に3Dフィギュアを作ってみよう!って気分になるのかもしれません。
造形出力価格は、市場の成長と共に確実に低価格化していき、またクオリティは日々進化し続けているので、このような市場のトレンドにおいて、どのタイミングで誰よりも早く綺麗なビジネスモデルを構築できるかにかかっていそうです。