カテゴリー別アーカイブ: 3Dプリンター 樹脂・フィラメント・材料

3Dプリンターで必要になる重要な物として、フィラメント(材料)があります。フィラメントの種類により、造形物の仕上がりに差が出たり、品質に大きな影響を及ぼします。また消耗品である為、コストパフォーマンスにもこだわりたいところ。安くて高品質なフィラメントとはいったいどのような物があるのでしょうか?

強度がすごい!カーボンで造形できる家庭用3Dプリンター「Mark One」が登場

家庭用3Dプリンターと言えば、造形素材はABSやPLA等のプラスチック素材をイメージすると思います。最近では造形素材にも、様々な物が登場しはじめており、家庭用の3Dプリンターでも金属等での造形が可能になりはじめています。そんな中、カーボンファイバー(炭素繊維)での出力造形が可能な3Dプリンターが登場しました。

何気に耳にするカーボンですが、カーボンとは鉄よりも軽く(鉄の約25%の重さ)、にも関わらず10倍の強度をもちます。ゴルフクラブやテニスラケット等、軽度と硬度が必要とされるような領域で重宝されています。所謂「軽くて丈夫な素材」です。しかし、カーボンは加工が難しく、それを成形するための製造コストが高いというデメリットがありました。
しかし、その成形加工の課題を、3Dプリンティング技術で容易にしたのが、「Mark One」です。価格は4,999ドル(約50万円)。家庭用3Dプリンターの課題としては、
・精度(精密さ)
・造形スピード
・強度
等がありますが、その中の一つの強度がカーボンによって満たされるのであれば、通常なら造形しても強度の問題で壊れる恐れがある等の心配があった造形物も、実際に利用できるオブジェクトとして家庭用の3Dプリンターで出力して実用品として使えるようになり、造形物の可能性はもっと広がっていくのかもしれませんね。

3Dプリンターのフィラメントを再利用や自作できる「Noztek Pro Filament Extruder」

家庭用3Dプリンターを使っていて、何かと多く発生するのがRaftやサポート材等の出力した造形品から剥ぎ取ったフィラメントカスや出力に失敗した造形品です。けっこうな量になるので、もったいないなーと思いながらもそのまま捨てている人、もしくは何かの為にとり置いている人もいるかもしれません。そんな何かのとり置いている人には朗報です。Noztek Pro Filament Extruderは細かく刻まれたPLAやABSのペレットを入れるだけで、1本のフィラメントとして加工してくれます。ちょうどソーセージを作る時に、ひき肉を押し出してくれるソーセージマシンのような感じです。60秒で約1mのフィラメントを出力できます。45分では1KG。十分なスペックですね。
価格は595ユーロ、日本円でおよそ84,000円ですが、3Dプリンターユーザーなら、誰もが欲しいと思ってる製品ではないでしょうか。最近多機能な3Dプリンターが数多く登場していますが、3Dプリンターに、このフィラメントリサイクル機能が実装されたら最強ですよね。

3Dプリンターでクロックスみたいな靴をプリントアウトできる新素材「FilaFlex」

履き心地や扱いやすさとデザイン性に加えて、クロックスピン等で数年前に大人気となったクロックスですが、クロックスのような素材の靴を家庭用の3Dプリンターで作成することができる新素材「FilaFlex」が登場しました。「FilaFlex」を製造販売しているのは、スペインの企業「Recreus」。「FilaFlex」は融解温度が230℃となっており、通常のABSやPLAが扱える家庭用3Dプリンターであればそのまま利用することができます。但し、出力時には「FilaFlex」専用のホットエンド出力が必要なようです。
以下の動画を見てもらうと分かると思いますが、パーツ別の出力ではなく、靴をまるごと一つ出力していますね。実際に出来上がった靴は、軽くて耐久性もあるようです。靴の中敷きと靴ひも等は100円ショップ等にも売っているので、簡単に実際の靴としても利用できそうですね。
履いて街中を歩いていたら、その靴を奪われるというエアマックス狩りなる事象まで起こったのは、NIKEのエアマックス95。バスケットブームに併せてエアジョーダンシリーズは大人気となり、特にAIR JORDAN IV/V/VI/VIIは、社会現象となるくらいの爆発的な人気となりました。今後3Dプリンターで靴までもが出力できるようになれば、エアマックスやエアジョーダンシリーズのような歴史に名を残すビッグヒットとなるシューズは登場しなくなるのかもしれませんね。エアジョーダンシリーズの3D CADデータがあれば、今まさに3Dプリンターに興味のあるユーザー層はきっと出力したくなってしまうのではないでしょうか。

Cubeを製造販売する3Dシステムズ社がフィラメントメーカーを買収

3Dプリンター市場が盛り上がってくると、関連ビジネスの領域も盛り上がってくる。3Dプリンターを購入したら、消耗品でもあるフィラメントは、コストパフォーマンスや造形品質等において、何かと気になる存在。そんなフィラメントを製造販売する会社が買収されるような時代になってきた。家庭用3Dプリンターの製造販売で有名な3Dシステムズが、Village Plastics Co.という、3Dプリンター用のABSやPLAのフィラメントメーカーを買収した。villageplastics3Dシステムズの家庭用3DプリンターCUBEでなんといっても不評なのが、カートリッジ式のフィラメント。通常のフィラメントよりも非常に価格が高く、コストパフォーマンスが非常に悪い。自由なモノづくりが基本精神である3Dプリンティングにおいて、3Dシステムズのカートリッジ式、フィラメントでも儲けるビジネスモデルは非常に多くの不評をかっており、最近のCUBEの売れ行きにも、大きな影響を与えていることは想像できる。そのような状況を変えるための、企業買収であることを祈るばかりである。

強度の高い3Dプリンター用ナイロン素材「FDM Nylon12」

3Dプリンター自体の進化と併せて注目されているのが、3Dプリンターに用いる素材。家庭用3Dプリンターの主な手法である熱溶解積層方式の3DプリンターではABSやPLA等のフィラメントが用いられる。このような素材も日々進化しているのだが、StratasysはFDM(熱溶解積層)方式向けの3Dプリンタで利用することができる強度の強いナイロン素材「FDM Nylon 12」を発表した。Stratasysとしては初のナイロン素材であるが、多くの利用者からナイロン素材の
要望がユーザーからあったようだ。ナイロン素材の特徴としては、やはり強度だろう。3Dプリンターで造形した物の強度は、PLAやABSなどによって異なる。造形したけど、強い力を加えると壊れるような場合もある。FDM-Nylon-12造形した物の利用シーン次第なのであるが、強度が高いことにこしたことはない。この、「FDM Nylon 12」は、同社の他のFDM素材と比較すると、5倍程度の強度があるようだ今後、家庭用3Dプリンターの素材にもさまざまなコンセプトの物が登場すると思われるが、強度というのは一つのアプローチとなるだろう。

好きな色を組み合わすことができるフィラメント「Stick Filament」

3Dプリンターを使っていると、造形途中で3Dプリンターの動きを止めないまま、別の色のフィラメントに交換したりしたいと思うこともあるだろう。しかし3Dプリンターのフィラメントの取扱いは以外と面倒で、もっと簡単にできたりしないだろうかと思うことも多い。普通の3Dプリンターフィラメントは、リール状の物に巻きつけられており、うまく扱わないと絡まったりすることもある。昔の固定電話のケーブルのように。Stick-Filamentそのような、誰もが、こうだったらいいのになー、というのを解決してくれるフィラメントがあるのをご存知だろうか。Stick Filamentはパスタのような直線の棒状のフィラメントで、両端が凸凹になっており、そのパスタ状のフィラメントを自由につなぐことができる。これにより、途中からフィラメントの色を変えて、複数色のカラフルな造形物を作ることができる。蛍光素材等もあるようで、アイデア次第では色々面白いことができそうだ。フルカラー3Dプリンター等が騒がれているが、このような発想はなかなか面白いのではないだろうか。こういうものを自由に扱う為のは、Cube等のカードリッジ式の家庭用3Dプリンターでは不可能なので、やはりこういう時にはある程度自由な3Dプリンターの方が何かと自由がきくのかもしれない。フィラメントを収納しておくのに、インテリアとしてもおしゃれかも。

フィラメントのABSとPLAの違い

最近の家庭用3Dプリンターで使うことのできるフィラメント(樹脂素材)は、主にABSとPLAの2種類がある。特に価格差等はなく、Cubeの場合だと、カートリッジとして税込6,300円で購入できる。ではABSとPLAの違いは何だろう?二つの素材の違いを理解することにより、造形の失敗を防いだり、少しでも綺麗な仕上がりや強度を満たせるかもしれない。以下に二つの特徴を纏めてみたい。

ABS
・ABSはPLAと比較すると粘りがある。
・構造部品として強度に優れている。
・出力後に、サンドペーパーややすり等の表面処理が比較的容易にできる。
・プラスチック用の塗料やアクリル系塗料での塗装が可能。
・成形が薄い物や大きい物は熱による収縮性があるので、成形中にプラットフォーム上で反ることがある。

PLA
・成形温度がABSよりも低く、粘りが少なく強固である。
・熱による変形が少なく、比較的大きい物等も作りやすい。
・トウモロコシ、ビート、イモ類、サトウキビ等の植物からつくられている。
・強固である為、成形後のサンドペーパーややすり等での表面仕上げには不向きである。
・ABS樹脂に比べると、出力後の塗装処理には不向きである。

それぞれに上記のような特徴がある。これらの特徴を理解した上で、出力する物の特性や大きさ、使い勝手等を考慮して、素材を適宜選ぶのがよいであろう。例えば置物やオブジェ等、仕上がりにこだわり、出力後に研磨等を行って色づけをするような物はABSが向いているのかもしれない。
逆に、出力後に色づけや研磨等はせずに、実用的な物として耐久性等を重視するのであればPLAが向いていそうだ。

Cubeのフィラメントは高い?

Cubeがヤマダ電機等での販売が開始され、個人でも3Dプリンティングを楽しむ人が増えてきた。初めての3Dプリントで感動して、いくつか作り慣れてきたタイミングで次に思うのは、このフィラメントの高さはなんとかならないのだろうか?ということではないだろうか。通常のRepRap式のフィラメントであれば、安い物であれば3,000円/kgで販売されている。そんなのを目にすると、購入時に迷っていたMakerBot Replicatorにすべきだった・・・とかついつい思ってしまう。
では、Cubeのカートリッジにはいったい何gのフィラメントが入っているのだろうか?未使用の状態でのカートリッジの重さは約680g。その後、空になったカートリッジを計るなどして算出すると、なんとCubeカートリッジの中に入っているフィラメントは約350g程度だ。キューブのカートリッジは国内で購入する場合、6,300円(税込)程度で販売されているので、単純計算だと、約17,000円/kgということになる。3,000円/kgのフィラメントと比較すると、約6倍という値段差。これは何とかならないものだろうか。
Cubeのカートリッジには、カートリッジの底に1wireのEEPROMが付いている。1wireとは、接地線と一本の信号線だけで低速なデータ転送を行うバス規格で、EEPROMとはメモリの1種で、電子機器で電源を切っても保持しておくべきデータを格納しておくことができる。これにより、Cubeのカートリッジは、フィラメントを使った分のデータを書き換え、カートリッジ内の残りのフィラメントの量をCube側で認識するような仕組みとなっているようだ。つまり、Cubeのカートリッジの底についているメモリーチップには、カートリッジ内の約350gの長さ分しか、一つのカートリッジから送出しない、という設計になっていようだ。このような仕様の場合、次のような事が考えられるのではないだろうか?
プリントヘッダーでフィラメント詰まりが発生して、そのカートリッジから実際にはフィラメントが送出されていなかったとしても、Cubeがプリントアウト中として稼働している限りチップには送出のデータが記録されるということだろうか?そう考えると、プリントアウト中は、フィラメント詰まりが発生していないか、ずっとそばにいて、稼働を確認し続けなければいけない。
※そのようなことになるかは、実際に検証できていないので、ご存知の方がおられたら、コメントください。これを回避するための方法として、世界中で様々な工夫が行われてきた。
http://hackaday.com/2013/04/26/cube-3d-printer-hack-lets-you-use-bulk-filament/
http://www.howmuchsnow.com/cube/
こちらは、空のフィラメントをCubeにセットして、カートリッジを認識させ、横から別のフィラメントをバイパスしてCubeに送り込む方式だ。バイパスする為のフィラメントスプールホルダーのCADデータも公開されている。
http://www.thingiverse.com/thing:76083
まさにこのような物自体を3Dプリンターで作ってしまうというのが、3Dプリンティングの醍醐味だと思う。以下のページの下部に、実際にこの仕組みを取り付けて使用している様子が映っている。
http://www.3d-caddata.com/news/vhxh
しかしこの方法も、ファームウェアがver.2.05となってからは使えなくなったようだ。となると、ファームウェアのダウングレード等を考えがちだが、ダウングレードの為のファームウェアの入手が難しいようで、どうしようもないというのが現状のようだ。
今後様々な3Dプリンターが市場に流通し始めると、ユーザーの選択肢は広まり、このような価格設定や仕組みも淘汰されていくかもしれない。現状においては、Cubeは、操作性や出力物の品質、購入してすぐに利用できたり、丁寧なアフターサポート等で、総合的に評価すると、他のプリンターをリードしていると思われる。なので、現状においてはフィラメントのコストだけで判断するものではないと思われる。
・3Dプリンティングが初めての方。
・自分で組み立てたり、細かなセッティング等は避けたい方。
・そんなにたくさん3Dプリンターで出力しない方。
・多少フィラメントが高くても気にしないお金に余裕がある方。
等にはオススメなプリンターかと思われる。
ユーザーとしては、市場の成長拡大により、フィラメントの価格がもっと値下がりすることを祈るばかりだ。