新しい技術が登場したら、それをどう使うかは使う人のモラルによるところが大きい。例えば3Dプリンターで銃を作ることができ、その銃のCADデータを公開している人等もおり、大きな問題となっている。今回は、3Dプリンターを使って、鍵を複製する人が現れた。それも、普通の鍵ではなく、鍵メーカーが複製不可能と自信をもっていた鍵がなんと3Dプリンターでの複製に成功してしまったのだ。1920年にアメリカで創業したシュレイジ社は、家庭用や業務用としての高品質な鍵「プリマス」を製造販売している。そのプリマスは、高度な技術により高いセキュリティー性を売りとしており、複製は不可能とされていた。しかし、そんなプリマスの鍵を、マサチューセッツ工科大学の学生が、自身が開発したソフトウェアを使って鍵の形状を解析して、そのデータを3Dプリンターで出力したところ、その鍵で錠を開けてしまった。実際の出力は、家庭用3Dプリンターではなく、オンラインの高出力な3Dプリンター出力サービスを使って作った。実際の価格は、ナイロン製が500円で、チタン製だと15,000円。今後、このような、革新的な技術を、不正的に活用しようとする人たちは必ず現れるだろう。今回のMITの学生は、鍵の複製により何かの犯罪を犯そうとしたわけではなく、技術の進歩により、新たにこのような課題も生まれているという警笛をならしたのであるが、改めて色々考えさせられる事例である。せっかく盛り上がってきた3Dプリンティング市場を、3Dプリンター銃や鍵の複製等の側面で取り上げられることにより、冷や水を浴びせるような事にはならないでほしい。