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デジタル原型師

デジタル原型師と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?デジタルで原型データを作る職人を思い浮かべる人が多いと思う。フィギュアの製作工程には「原型師」もしくは「造形師」と呼ばれる職種があり、その他にも、ペイントマスターや、フィニッシャーと言われる職業も存在する。これらの職人さんの工程を経てフィギュアが完成するわけだが、これを3DCADや3DCGソフトウェアを用いて原型を作り上げる職業を、デジタル原型師とよぶ。そのようなデジタル原型師を養成するためのオンライン講座がデジタルハリウッドから発表された。受講時間は15時間。受講料は講座のみが11万4,500円。受講に用いる3Dソフト「ZBrush」付属の講座は20万600円となっている。 最終的にはプロのデジタル原型師になることを目的としており同講座でスキルを身に着けたら、作成した作品データ等をグリフォンエンタープライズ社に 提出し、その中から優秀なクリエイターはグリフォンエンタープライズ社から「デジタル原型師」としてデビューすることができる。雇用形態としては、正社員/契約社員/インターン/成果報酬型等があるようだ。3DCGソフト「ZBrush」を用いての講義となっており、主に3DCGキャラクターの作成を学んでいく。特にフィギュア制作に特化した3DCG制作手法が学べ、実際のデータを東京リスマチックの3Dプリンター設備等を使って出力することもできる。

この講座でなんといっても注目なのは、あのグリフォンエンタープライズ社で、デジタル原型師として社員となり働けることではないだろうか。もちろん社員への道は簡単な物ではないかもしれないが、優れた技術を身に着けたら、自身の好きな事を仕事にできるかもしれない。 ちなみにグリフォン社は、フィギュアや玩具などを企画/制作/製造/販売しているメーカー。あの「フィぎゅっと!(アクションフィギュア)」の開発/販売等も行っている。

FABtotum:多機能な3Dプリンターが登場

3Dプリンターに続き、安価な3Dスキャナーが登場し始めているが、なんと3Dプリンターに、3Dスキャナー機能を兼ね備えた3Dプリンターが登場した。このプリンターは加えて、フライス版加工や立体彫刻機能まで兼ね備えた驚きの製品だ。「FABtotum」は現在Indiegogoで出資募っており、1099ドルで手に入れることができる。カラーはレッド/ブラック/ホワイト。FABtotumの特徴としては、全てオープンソースで公開されており、サードパーティー製の部品等を自由に使えて、機能を拡張できる。これまでにはなかった新しい概念の3Dプリンターだ。
多機能な割には、サイズもコンパクトなので、大きなスペースを割けない家庭用3Dプリンターとしては便利かもしれない。

家庭用3Dプリンター

昨今の3Dプリンターブームで、3Dプリンターさえあれば、何でも造形できると勘違いされているむきもある。3Dプリンティングブームを理解するうえで、家庭用の3Dプリンターと、ハイスペックな3Dプリンターを区別する必要がある。“家庭用3Dプリンター”と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるだろうか?CubeやMakerbotReplicatorやAfinia、最近ではScoovo等が家庭用3Dプリンターとしての市場を開拓している。ただ、日本国内で入手できて、安定的な動作を期待できる3Dプリンターとしては、Cubeが一歩リードしている感じだろうか。昨今ブームの家庭用3Dプリンターは、これまで米国の特定企業が保有していた3Dプリンティング技術の特許が切れて、様々なベンチャー企業が安価にて3Dプリンターを開発/販売し始めた事が大きい。一方、Stratasysや3D Systems等は1980年代から、工業製品向けのプロトタイプを作成するための3Dプリンターを比較的早いタイミングから市場に投入していた。これらの技術は比較的昔からある技術であり、それなりの金額を払えば、相当な3Dプリンターを入手することができた。ただ、ここ近年の大きな動きとしては、これらの大手プレイヤー、Stratasysや3D Systemsが、家庭用3Dプリンターという、ホームユースの市場に参入してきた事が大きい。3D SystemsはCubeをフィーチャーして、Stratasysは、MakerBot社を買収して、MakerbotReplicatorでこの市場を開拓し始めている。時間がたてば、工業製品を作成するような高価な3Dプリンターの品質レベルと、ホームユースの家庭用3Dプリンター市場と融合することが考えられるが、
それでにはまだしばらく時間がかかるだろう。現状の3Dプリンティング市場は、期待値が現実をうわまっており、この原因は工業製品向けの3Dプリンティング市場と、家庭用3Dプリンター市場が混同されていることにある。近い将来、これらは近づいて1つの市場になると思われるが、それまでの間、市場の健全な成長を期待したい。

3Dプリンターストアをアマゾンがオープン

アメリカ本国のamazonでは既に3Dプリンターコーナーがオープンしているが、この度日本のamazonでも3Dプリンタストアとして、3Dプリンター関連の商品を扱うコーナーがオープンした。取扱い商品は3Dプリンター本体以外にも、フィラメントや3Dソフトウェア、関連書籍等。取扱っている3Dプリンターは、今のところ3DシステムズのCube/CubeXのみ。海外のamazonだとAfinia等の数種類のプリンターを扱っていたので、日本のamazonも早くラインナップをそろえてくれることに期待したい。3Dシステムズのプリンターはオンラインショップに限らず、ヤマダ電機やビックカメラ等の実店舗でも目にすることが多くなってきたが、ストラタシス陣営のコンシューマー向け3Dプリンターは、何故だかあまり目にすることがない。Makerbot Replicator等も普通に店頭やアマゾンのストアに並んでも良いような気がするが、おそらく何かの事情があるのであろう。昨年度はMakerbot Replicatorがホームユースの3Dプリンター市場を牽引してきたが、ストラタシスに買収されて以降、商流等に関しては何等かの方針があるのかもしれない。それに対して3Dシステムズ陣営は、初心者でも使いやすいCubeを筆頭に、様々な商流に乗せた展開を積極的に行っている。さてこの先、家庭用3Dプリンター業界はどのように進んでいくのか、非常に興味深い。
3Dプリンターを使っていて意外と消費するのがフィラメント。出力したいと思った時にフィラメントが足りないとかだと、近所に売ってるわけでもないし、入手にはそれなりの時間がかかる。ネットでフィラメントを購入する人も最近は増えてきた。ケンビル等がPLAやABSのフィラメントを格安で独自ストアや、楽天、ヤフーショッピング等で販売している。そんなフィラメントがこの度アマゾンでも販売されることになった。アマゾンプライム会員だと、翌日到着等も可能なようで、今すぐフィラメントが欲しい時にはとても助かるサービスではないだろうか。もちろん送料無料というのがうれしい。

簡単操作の3D CADデータ作成ツールDesignSpark Mechanicalが登場

大手電子部品販売会社のアールエスコンポーネンツ(神奈川県横浜市)は2013年9月18日、3D CADデータを簡単に作成できるツール「DesignSpark Mechanical」の無償での提供を開始しました。英国の本社サイトでは、9月17日から提供を開始しており、なんと一日で約1万件のダウンロードがあったとのことです。動作環境は、Windows XP/Vista/7/8になります。3Dプリンターを購入して、適当なサイトからSTLデータを入手してプリントアウトを何回か行うと、次にやってみたいことは、自分で思った通りのCADデータを作成して、そのデータをプリントアウトしたいと思うだろう。ただ、現時点においては、素人が思い通りの形状をCADソフトで作成することは非常にハードルが高い。そんなニーズを踏まえて、CADデータ作成の技術力がなくても比較的手軽に3DのCADデータが作成でき、3Dプリンター用のSTL形式でデータを出力できるソフトが登場した。AutoCADやSolidWorksなど既存の3D CADソフトとの連携もサポートしているところが嬉しい。先日紹介した「3-Sweep」等、ここ最近、3Dプリンターのニーズに対して、データ作成のハードルを下げる為のソフトウェア市場が熱い。この先も様々な技術の登場によって、これまで以上に3D CADデータの作成のハードルは下がり、3Dプリンティング市場は大きく成長していくであろう。

3Dプリンター業界に革命?初心者でも簡単に3Dデータが作れる技術が登場

3Dプリンターの普及に伴い、3Dデータのニーズが高まっているが、普通の人に3DCAD等を操作するには、それなりの技術が必要でハードルの高い物となっている。CADソフトや3DCGソフトから立体物のデータを作成する以外にも、最近では、Makerbot社が発表した「Digitizer」や、Indie gogoで出資を募った、Photon等の、3Dスキャナーが注目されている。で、今回発表された新しい技術は、写真や画像等の二次元データから、誰でも簡単に3Dデータが作成できる技術だ。話を聞いてもどのように実現するのか、ぴんとこないと思うので、まずは動画を見ていただきたい。オブジェクトの輪郭の取り方は、クリックとドラッグで簡単にトレースできる。立体化したオブジェクトの背面は、Photoshopの「Content-Aware Fill」機能のような感じでマッピングされるので、立体化したオブジェクトをくるくる回したり移動させたりできる。この「3-Sweep」は現在開発中の段階であり、不規則な形状の物体等は、まだ完全に対応することはできていない。このようなソフトこそが、今後3Dプリンティングを一般家庭に普及させるためのドライバーになることは間違いない。早く製品化されて販売されることを祈るばかりである。

3DプリンターCubeでサポートを成形しないようにするには

3Dプリンターを使っていて気になるのは、フィラメントの材料費。特にCubeのカートリッジは非常に高く、出力の失敗や無駄なフィラメント出力はなるべく避けたいところ。何度か整形していると、整形物の下に敷かれて整形される部分が気になってくる。これは、整形時にオブジェクトが倒れないようにサポートしたり、整形後にプラットフォームからはがれやすくするためにするための物。Raft(ラフト)とよばれる。整形後、このRaftを引っぺがす必要があるが、これが意外と硬く、ニッパー等がないとなかなかはがせない。またこれが以外とフィラメントを使うので、剥がしたRaftがそれなりの量となり、そのまま捨てるのがもったいなくなってくる。
では最初からこのラフトを出力しないように設定するにはどうしたらいいのだろうか?Cubeの場合は、Cubeソフトウェアの「Setting」メニューを開くと、RaftのON/OFFボタンがある。これをOFFにしてBuildするだけでRaftは整形されなくなる。
最近ではKickStarter等で出資を募っているが、はやくフィラメントを再利用するための機材が出てきてほしい物である。

3Dプリンティングは過度な期待のピーク期

アメリカの調査会社ガートナーが2013年9月3日に、毎年発表している「先進テクノロジーのハイプサイクル」の2013年度版を発表した。ハイプサイクルとは、ガートナーが2,000以上の様々な技術を98の分野に分類して、成熟度/成長度/企業メリット等を元に、それぞれの技術の成長性等の予測を図式化したもの。近年では、ゲーミフィケーション、AR(拡張現実)、クライドコンピューティング、NFC等が登場したことを記憶してる方も多いと思う。そのようなハイプサイクルの2013年度版に、「コンシューマー3Dプリンティング」が登場した。
hype_sycleコンシューマープリンティングは、過度な期待のピーク期にあるとされており、今後「幻滅期」を経てで5~10年後に普及に向かうと予測している。また、企業向けの3Dプリンティングは既に啓蒙活動期に入っており、数年後には生産性の安定期に入り普及していくと予測している。たしかに3Dプリンティングは過熱気味に報じられている側面もあり、家庭用3Dプリンターの市場がどこまで広がるかは意見の分かれるところだが、ガートナーは今から、5年から10年かけて普及に向かうと予測している。ちなみに3Dスキャナーは、現時点でテクノロジの黎明期にあり、ここ数年で、過度な期待のピーク期に入っていくと予測されている。

Cubeのフィラメントは高い?

Cubeがヤマダ電機等での販売が開始され、個人でも3Dプリンティングを楽しむ人が増えてきた。初めての3Dプリントで感動して、いくつか作り慣れてきたタイミングで次に思うのは、このフィラメントの高さはなんとかならないのだろうか?ということではないだろうか。通常のRepRap式のフィラメントであれば、安い物であれば3,000円/kgで販売されている。そんなのを目にすると、購入時に迷っていたMakerBot Replicatorにすべきだった・・・とかついつい思ってしまう。
では、Cubeのカートリッジにはいったい何gのフィラメントが入っているのだろうか?未使用の状態でのカートリッジの重さは約680g。その後、空になったカートリッジを計るなどして算出すると、なんとCubeカートリッジの中に入っているフィラメントは約350g程度だ。キューブのカートリッジは国内で購入する場合、6,300円(税込)程度で販売されているので、単純計算だと、約17,000円/kgということになる。3,000円/kgのフィラメントと比較すると、約6倍という値段差。これは何とかならないものだろうか。
Cubeのカートリッジには、カートリッジの底に1wireのEEPROMが付いている。1wireとは、接地線と一本の信号線だけで低速なデータ転送を行うバス規格で、EEPROMとはメモリの1種で、電子機器で電源を切っても保持しておくべきデータを格納しておくことができる。これにより、Cubeのカートリッジは、フィラメントを使った分のデータを書き換え、カートリッジ内の残りのフィラメントの量をCube側で認識するような仕組みとなっているようだ。つまり、Cubeのカートリッジの底についているメモリーチップには、カートリッジ内の約350gの長さ分しか、一つのカートリッジから送出しない、という設計になっていようだ。このような仕様の場合、次のような事が考えられるのではないだろうか?
プリントヘッダーでフィラメント詰まりが発生して、そのカートリッジから実際にはフィラメントが送出されていなかったとしても、Cubeがプリントアウト中として稼働している限りチップには送出のデータが記録されるということだろうか?そう考えると、プリントアウト中は、フィラメント詰まりが発生していないか、ずっとそばにいて、稼働を確認し続けなければいけない。
※そのようなことになるかは、実際に検証できていないので、ご存知の方がおられたら、コメントください。これを回避するための方法として、世界中で様々な工夫が行われてきた。
http://hackaday.com/2013/04/26/cube-3d-printer-hack-lets-you-use-bulk-filament/
http://www.howmuchsnow.com/cube/
こちらは、空のフィラメントをCubeにセットして、カートリッジを認識させ、横から別のフィラメントをバイパスしてCubeに送り込む方式だ。バイパスする為のフィラメントスプールホルダーのCADデータも公開されている。
http://www.thingiverse.com/thing:76083
まさにこのような物自体を3Dプリンターで作ってしまうというのが、3Dプリンティングの醍醐味だと思う。以下のページの下部に、実際にこの仕組みを取り付けて使用している様子が映っている。
https://www.3d-caddata.com/news/vhxh
しかしこの方法も、ファームウェアがver.2.05となってからは使えなくなったようだ。となると、ファームウェアのダウングレード等を考えがちだが、ダウングレードの為のファームウェアの入手が難しいようで、どうしようもないというのが現状のようだ。
今後様々な3Dプリンターが市場に流通し始めると、ユーザーの選択肢は広まり、このような価格設定や仕組みも淘汰されていくかもしれない。現状においては、Cubeは、操作性や出力物の品質、購入してすぐに利用できたり、丁寧なアフターサポート等で、総合的に評価すると、他のプリンターをリードしていると思われる。なので、現状においてはフィラメントのコストだけで判断するものではないと思われる。
・3Dプリンティングが初めての方。
・自分で組み立てたり、細かなセッティング等は避けたい方。
・そんなにたくさん3Dプリンターで出力しない方。
・多少フィラメントが高くても気にしないお金に余裕がある方。
等にはオススメなプリンターかと思われる。
ユーザーとしては、市場の成長拡大により、フィラメントの価格がもっと値下がりすることを祈るばかりだ。

SCOOVO(スクーボ)の不具合とカスタマーサポート

国産の低価格3DプリンターSCOOVO(スクーボ)が発売されましたが、不具合等のトラブル、カスタマーサポート対応等の点で若干炎上しているようです。
ここまでの経緯は、
・7月8日に、7月19日公開の「オープンキューブオンラインストア」にて7月29日から18万9千円で販売することを発表。
・オンラインストアの公開日を8月5日に、発売日も8月14日に延期。
・初期生産分/2次生産分もサイトオープン30分で完売。
・初年度2,500台、2年目は4,500台の販売を目指す。
と、当初出だしは好調に見えたものの、実際に販売がはじまりユーザーの手に届くと、いくつかの不具合が発生しているようです。不具合の内容としては、フィラメント詰まりが多い感じでしょうか。

http://microcraft.blog.fc2.com/blog-entry-64.html
http://3dsco.hateblo.jp/entry/2013/08/24/231203
http://ameblo.jp/beheive777/entry-11596523239.html
https://www.facebook.com/opencube.japan?filter=2

製品自体の不具合以外にも、カスタマーサポート等の点でもいろいろ指摘されているようですが、期待値が高かっただけに、不具合が発生したり、カスタマーサポートからの返答がなかったりすると炎上してしまうのかもしれません。3Dプリンティング市場自体まだ黎明期であるため、製品自体の性能と併せて、カスタマーサポートは非常に重要なのかもしれない。Cubeのカスタマーサポートも、片言の英語で問い合わせてもすぐに返答が来るあたりは、その辺を意識しているのかもしれない。オープンキューブさんには、なんとかこのビジネス立ち上げを乗り切ってもらって、日本国内の3Dプリンティング市場を盛り上げていただきたいので、陰ながら応援してます。