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3Dプリンターでオレオを楽しく食べる。いずれは3Dプリンターお好み焼き?

毎年この季節にアメリカのテキサス州オースティンで開催される映画と音楽の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」に、3Dプリンターとオレオのマッシュアップ企画が登場しました。
オレオはみなさんもご存知かと思いますが、ナビスコが製造/販売するサンドイッチ状のクッキーで、白いクリームを2つのチョコレートクッキーではさんだものです。
日本国内では、沢口靖子さんがテレビCMしていたアレか、と記憶していたのですが、沢口靖子さんがCMに出演していた商品はリッツでした。1912年に発売されたオレオはアメリカで最も売れているクッキーだそうです。オレオには、色々な食べ方があるみたいですね。

今回SXSWに登場したオレオの新しい食べ方を提案した3Dプリンターは、オレオの片面にカラフルなクリームを塗って、もう一つのオレオではさむまでの作業を3Dプリンターの原理で機械的に制御するプロダクトです。カラフルなクリームが使われていますが、自宅でたこ焼きパーティー、みたいな感じでしょうか。と考えると、3Dプリンターの原理を活用したたこ焼きやお好み焼きマシーン、みたいなのもいずれ登場するかもしれませんね。もんじゃとか。

超小型/高機能/低価格(2万円以下)と3拍子揃った3Dプリンター「The Micro」

先日ニューヨークで開催された3D Print Showで、超小型の3Dプリンタ「The Micro」が発表されました。これまでも小型の3Dプリンターはいくつかありましたが、「The Micro」は超小型/高機能/低価格、とトータルで見ても非常に完成度の高い製品となっています。3Dプリンター本体の筐体サイズは185mm×185mm×185mmと超コンパクト。そのため最大造形サイズも幅109mm×奥行き113mm×高さ116mmと小さいですが、ちょっとした物を作るには十分なサイズでしょう。

フレームはカーボンファイバーを採用しており、重量も1キロと超軽量。積層ピッチは50~350μm(0.05mm~0.35mm)、利用するフィラメントは直径1.75mm。ABS/PLA/ナイロン/木材フィラメント等、様々なフィラメントに対応しており、Micro Motion Sensor Chipにより、15μm(0.015mm)のX/Y位置決め精度を実現しています。また付属の専用ソフトウェア以外にも、上級者はオープンソースソフトウェアを使用することもできるようです。プリント中の反り返り等を防ぐ為に、温度を適切に保つセラミックヒーターも備えており、対応フォーマットはSTL以外にもOBJ/XYZにも対応。省エネにもこだわっており、10分の利用で15W程度という省電力設計にもなっています。

このように聞くと、小型のわりにはかなりハイスペックで、デザインも非常に洗練されており、採用されている素材等からもしっかりした作りのようなので、それなりの価格かと思いきや、なんと199$~299$の価格帯を予定しているとのことです。3月からキックスターターで資金調達を開始する予定ですが、そこで詳細な販売価格等も発表されるでしょう。

1台20,000円を切る価格であれば、5台購入しても10万円以下。5台同時に動かして複数のパーツを同時に出力して、それぞれのパーツの出力が終わったら、パーツを組み立てて出来上がり、みたいな使い方もできそうですね。国産の3DプリンターSCOOVOが189,000円、Cube3Dプリンター(現行モデルの2nd Generation)が168,000円ですが、積層ピッチや使えるフィラメントの種類等を比較する限りでは、「The Micro」の方がトータルで上回ってるように感じます。実際の出力精度や品質、スピード等も比較してみたいですよね。造形サイズはSCOOVOやCubeの方が大きいですが、もしぞれだけの差でこの価格差としたら、みなさんはどちらを選びますか?3D Systemesは、2014年の第2四半期に10万円を切るCube3の販売を控えています。SCOOVOを製造販売するオープンキューブ社も、次の手を考えているかもしれませんね。是非とも国産メーカーにも頑張ってほしいところです。

ここまで小さくて、高機能で、低価格な3Dプリンターが登場し始めると、10万円以上する家庭用3Dプリンターは、その他の圧倒的な差別化が無い限り、今後市場に受け入れられることは厳しくなっていくのかもしれません。2014年3月に「The Micro」がキックスターターに登場するとのことなので、そこでの詳細を待ちたいと思います。「The Micro」については引き続きレポートしていきたいと思います。

3Dプリンターのフィラメントを再利用や自作できる「Noztek Pro Filament Extruder」

家庭用3Dプリンターを使っていて、何かと多く発生するのがRaftやサポート材等の出力した造形品から剥ぎ取ったフィラメントカスや出力に失敗した造形品です。けっこうな量になるので、もったいないなーと思いながらもそのまま捨てている人、もしくは何かの為にとり置いている人もいるかもしれません。そんな何かのとり置いている人には朗報です。Noztek Pro Filament Extruderは細かく刻まれたPLAやABSのペレットを入れるだけで、1本のフィラメントとして加工してくれます。ちょうどソーセージを作る時に、ひき肉を押し出してくれるソーセージマシンのような感じです。60秒で約1mのフィラメントを出力できます。45分では1KG。十分なスペックですね。
価格は595ユーロ、日本円でおよそ84,000円ですが、3Dプリンターユーザーなら、誰もが欲しいと思ってる製品ではないでしょうか。最近多機能な3Dプリンターが数多く登場していますが、3Dプリンターに、このフィラメントリサイクル機能が実装されたら最強ですよね。

1時間程度で洋服が作れる3Dプリンター「OpenKnit」

これまでにも3Dプリンターで洋服を作るプロジェクトはいくつか発表されています。しかし今回紹介する「OpenKint」は既に実際に洋服を作り出すことができるプロダクトとなっています。RepRap3Dプリンターのように、このOpenKnitもArduinoベースのオープンソースプロジェクトとなっており、価格も550ユーロ(約7万7500円)という手頃な価格となっています。
3Dプリンタで出力されたアタッチメント等の部品やモーター、センサー、編み針等で構成されており、OpenKnit専用のデザインソフト「Knitic」を使って作成したデータを出力します。およそ1時間程度で洋服(セーター)を作ることができるようです。通常の家庭用3Dプリンターでは、ちょっとしたサイズの物でも数時間かかるのは当たり前なので、実際に着ることができるサイズの洋服を1時間程度で出力できるというのは、かなり魅力的ですね。
既に衣類専用のデータ共有サービス「do KNit yourself」もオープンしており、数点の衣類のデータが公開されています。現時点では毛糸での出力にしか対応していないようですが、今後繊維となる素材の種類が増えてきたら、もっと可能性が広がるかもしれませんね。現時点のクオリティでは、着て外出するのは恥ずかしいかもしれませんが、部屋着としてなら問題ないでしょう。その他、マフラーや手袋、ニット帽等ならとてもいい感じの物が簡単に作れそうです。あとはペットに着せたりする洋服をこれで作ったらとても可愛いかもですね。

3Dプリンターでクロックスみたいな靴をプリントアウトできる新素材「FilaFlex」

履き心地や扱いやすさとデザイン性に加えて、クロックスピン等で数年前に大人気となったクロックスですが、クロックスのような素材の靴を家庭用の3Dプリンターで作成することができる新素材「FilaFlex」が登場しました。「FilaFlex」を製造販売しているのは、スペインの企業「Recreus」。「FilaFlex」は融解温度が230℃となっており、通常のABSやPLAが扱える家庭用3Dプリンターであればそのまま利用することができます。但し、出力時には「FilaFlex」専用のホットエンド出力が必要なようです。
以下の動画を見てもらうと分かると思いますが、パーツ別の出力ではなく、靴をまるごと一つ出力していますね。実際に出来上がった靴は、軽くて耐久性もあるようです。靴の中敷きと靴ひも等は100円ショップ等にも売っているので、簡単に実際の靴としても利用できそうですね。
履いて街中を歩いていたら、その靴を奪われるというエアマックス狩りなる事象まで起こったのは、NIKEのエアマックス95。バスケットブームに併せてエアジョーダンシリーズは大人気となり、特にAIR JORDAN IV/V/VI/VIIは、社会現象となるくらいの爆発的な人気となりました。今後3Dプリンターで靴までもが出力できるようになれば、エアマックスやエアジョーダンシリーズのような歴史に名を残すビッグヒットとなるシューズは登場しなくなるのかもしれませんね。エアジョーダンシリーズの3D CADデータがあれば、今まさに3Dプリンターに興味のあるユーザー層はきっと出力したくなってしまうのではないでしょうか。

ついにここまで来た!3Dプリンターのドキュメンタリー映画が登場!

数年前に「Social Network」という、デヴィット・フィンチャーが撮影したFacebookを題材にした映画を見た人も多いと思います。昨年は、アシュトン・カッチャーがスティーブ・ジョブスを演じて話題になった「Steave Jobs」を見た人おいるかもしれません。私も観ました。古くは、若き日のビル・ゲイツとスティーブ・ジョブスを描いた「バトル・オブ・シリコンバレー」という映画もありました(凄いタイトルですね)。ITの世界は時に劇的であり、映画の題材としても取り扱われる事が多い物です。邦画なら孫正義の映画があってもおかしくないと思うのは私だけでしょうか。
そのような中で、なんと今回は、3Dプリントの世界がドキュメンタリー映画になってしまいました。South by Southwest(SXSW)の映画祭で3/9に公開されたこの3Dプリンタームービーは、MakerBot社のブリー・ベティス氏や、キックスターターで多くの支援金を集めたFormlabsの共同創業者であるマクシム・ロボフスキー等、この業界に興味のある人なら耳にしたことがある人物が数多く登場します。「MAKERS」の著者として有名な「WIRED」誌元編集長のクリス・アンダーソンや、現編集者であるマイケル・キャロアとクリフ・カンも登場しています。これまでITの世界には、エポックメイキングな歴史を動かす出来事が何度かありました。それはIBMであったり、Appleであったり、Microsft、Google、Facebook等、歴史に名を残す企業やサービス、それを成し遂げた創業者等でもありました。そして次のエポックメイキングな事象として3Dプリンティングが注目されていることは誰もが気付いていることでしょう。制作は、ビデオゲームをテーマにしたドキュメンタリー映画「The King of Kong」のプロジェクトにも参加していたルイス・ロペス氏とクレイ・トゥイール氏。もしあなたもこの歴史のど真ん中にいるのであれば、この映画を見て未来を予見してみてもよいのかもしれません。3Dプリンターが映画化される時代が来たとは、感慨深い物です。

空間にジェスチャーで3Dモデルを作って直接3Dプリントする凄い技術が登場!

グーグルグラスやテレパシー等のグラス型ウェアラブルコンピュータが注目されていますが、今回紹介するのはキックスターターで約2,000万円の支援金を集めた「SpaceGlasses META」です。METAはサングラスのようなメガネに、3Dのヘッドセットが組み込まれたグラス型ウェアラブルコンピューターです。MATAはMicrosoftのKinectのようにジェスチャー等をキャプチャすることができ、実空間にハンドジェスチャーで3Dオブジェクトデータを直接描き出すことができます。段階を経た開発が進められているようですが、最新のPRE Orderを受け付けている最新モデルは、初期モデルより大幅にデザインが洗練され、サイズ等もコンパクトになっているようです。ちなみに価格は、
・META Pro:$3,650(約36万円)
・META.01 Developer Edition:$667(約6万7千円)
となっています。
以下のビデオの0:12(12秒)あたりで、3Dモデルを作成して、そのデータをそのまま3Dプリンターに移動して出力している様子が映し出されていますが、このようなウェアラブルコンピューターと3Dプリンティングは相性のよい物なのかもしれません。

顔写真一枚で3Dプリンターで出力できる3Dデータが作れるサービス「Vizago」

3Dプリンターの人気に伴い、専門的な3D CADの技術がなくても比較的簡単に3Dデータを作ることができる様々なサービスが登場しはじめています。しかし簡単に3Dデータが作れるサービスでは、簡易的な3Dデータにとどまり、私たちがイメージしているような高精細なフィギュアデータを作ったりするのはまだまだそう簡単ではありません。しかし、なんと顔写真1枚で顔(頭部)の3Dデータが簡単に作ることができるサービスがあることをご存知でしょうか?
Vizagoは1枚の会写真から3Dの面を作成して、3Dデータを作成することができます。この写真から3Dデータを作るモーフィング技術の特許もVizagoは取得しているようです。ではいったいどのようにして1枚の写真から3Dデータを作成するのでしょうか?
データの作成はWeb上で行うことができます。サービス登録後、真正面を向いた顔写真を1枚用意します。この顔写真をアップロードし、その後性別を選択。次にそのアップロードした顔写真に、鼻の右端/鼻の左端/鼻の中央/右耳下/左耳下/右目尻/左目尻/口の右端/口の左端/右顎/左顎/顎先にポイントを打っていきます。一昔前に顔写真の合成サービス等がありましたが、それらのサービスでもこのように顔のポイントを打っていく作業はあったので、ご存知の方は多いと思います。これだけで3Dモデルのデータ生成がはじまり数分で完成します。髪の毛は生成されないのでスキンヘッドになりますが、写真からデータをおこしているだけあって、かなりリアルな仕上りです。髪の毛や髭等はCGの世界でもこれまでそうであったように、やはり3Dデータにするのはそれなりに困難なようです。スキンヘッドな3Dデータに髪や髭を重ね合わせて完成です。
このテクノロジーでヘアスタイルのシュミレーションや、洋服のフィッティング等への活用をイメージしているようです。こちらのWEBサービス上で作成した3DデータはOBJファイルになり、そのデータをダウンロードするにはプロモーションキーが必要になります。メールでvizagoへ問い合わせたら、プロモーションキーをもらえるようです。3D化したデータは、アバターや3D空間等のバーチャル空間に登場させることなどを想定したサービスのようですが、最近では3Dプリンターの隆盛に伴い、バーチャル空間よりも実空間にフィギュア等として出力したいというニーズの方が多そうですね。

これで独立開業!?街の3D写真館をオープンするには?

普段よく見かける街の写真館。誰もが一度は利用したことがあると思います。単なる写真の現像利用の他にも、七五三、入学式、卒業式、誕生日、成人式、結婚式、このような記念日に写真館を訪れて記念写真を撮影したことがあるかもしれません。そんな街の写真館の3D版を開業したいと考えている人は以外と多いかもしれません。記念日にお客様にお店に来てもらって3Dスキャナーで3Dスキャニング。そのスキャニングしたデータを3Dプリンターで出力してお客様に販売。誰もが思いつくビジネスモデルですね。
2012年に期間限定で登場したOMOTE 3D SHASHIN KANは、大人気となり海外からも注目されるとりくみになりました。そういう意味ではOMOTE 3D SHASHIN KANはこのコンセプトを真っ先に実現した取組だったのかもしれません。最近では結婚式の記念に2人の晴れ姿を3Dスキャナーでスキャニングして3Dプリンターで出力してフィギュアにする人もいるようなので、高いクオリティと手ごろな価格さえ実現できればかなりの確率で成功するような気もします。

でもいったい何を揃えればよいのか?何から始めたらいいのか?そんな問いに答えてくれるようなサービス「フォトフィグ スタジオキット」が、登場しました。
フォトフィグスタジオキットは、複数のデジタル一眼レフカメラと、カメラのシャッタータイミングをプログラミングでコントロールするソフトウェアと、被写体を乗せて回転させるターンテーブル(ろくろのような物)からなる3Dスキャニングシステムです。このシステムを用いると、およそ30秒程度でスキャニングは完了します。ちなみに昨今多く登場しているハンドヘルド型の3Dスキャナーは、被写体に対して1つのスキャナーで周囲の様々な角度からスキャニングしていくため、被写体は数分間静止の状態であり続ける必要があります。
このフォトフィグスタジオキットで撮影した写真データを、クラウドサーバーにアップロード後、3Dデータ化/3Dプリント出力を、このキットを販売している「有限会社ハウスオブアート」に注文するかたちになります。では街の3D写真館スターターキットともいえる「フォトフィグスタジオキット」の中身は、どのような物なのでしょうか?

「フォトフィグスタジオキット」パートナースタジオ特価:498,000円

  • フォトフィグスタジオキット専用マニュアル
  • ニコンデジタル一眼レフカメラ「D5200」18-55VRレンズセット×3台
  • 人物撮影可能ターンテーブル(耐荷重80kg)
  • 撮影用照明(4灯式80×60cmソフトBOXディフューザー×2台)
  • 撮影用蛍光灯(高明度105Wインバーター蛍光灯電球×8個)
  • 背景スタンド+バック紙(ホワイト&グリーン)
  • 物理レリーズ×3個
  • 3メートルUSB延長ケーブル×3本、USBハブ
  • 高速SDHCカード×3個
  • 同時レリーズ プログラミング制御可能ソフトウェア
  • カメラ設置リグ(クランプ、角度調整アーム、170-280cmフレキシブルポールのセット)

となっているようです。必要な機材等が一式揃っているというのはありがたいですよね。また専用マニュアルには様々なノウハウが詰まっていると思うので、すぐにでも始めたいという人にはお手頃価格なのではないでしょうか。

その他の費用

  • データ作成料:15,000円
    撮影した写真を3Dデータに編集加工してもらう費用です。
  • フィギュアの3D出力費用
    ・150mm 9,800/1体
    ・200mm 19,800/1体
    ・250mm 34,800/1体
    ・300mm 59,800/1体

となってます。
初期費用は、「フォトフィグスタジオキット」498,000円。ランニングコストが、15,000円+フィギュアのサイズに応じて数万円といったところでしょうか。

例えば結婚式の新郎新婦の晴れ姿を300mmサイズで販売する場合、
・3Dデータ作成費用:15,000円×2体分=30,000円
・3Dデータ出力費用:59,800円×2体分=119,600円
計:149,600円になります。
20万円でこのプランを販売するとしたら、利益は約50,000円。年間100組の結婚式で成約に至れば500万円/年、の売り上げ規模でしょうか。20万円!?と聞くと高い!と感じるかもしれませんが、結婚式をあげたことがある人ならわかるかと思いますが、結婚式のアルバム写真は20万円とかは普通にあるので、特別高いという訳ではないですよね。ただ、アルバムも欲しいし、3Dフィギュアも欲しいとなると、アドオンで20万円はちょっと厳しいかもですね。あとウェディングドレス等は、ブーケやレース等の部分が細かく複雑な為、3Dデータ化が難しく再現度も気になるところです。

しかし、この街の3D写真館ビジネスモデルはきっと可能性があると思います。どんなビジネスも、いかにそのビジネスモデルを構築/デザインするか。このビジネスモデルが成功するか失敗するかの全ては、「高品質な3Dフィギュアを、いかに低価格で提供できるか」にかかっているかと思われます。ではその二つを実現するにはどうしたらよいでしょうか?

このようなスターターキットはノウハウ等も詰まっていてすぐに始められる等のメリットもありますが、少しでも安くしたいなら、自分で個別にそろえるのもありですよね。
ニコンデジタル一眼レフカメラ「D5200」18-55VRレンズセットは50,000円程度で購入できるので、3台購入しても15万円。もっと安いデジタル一眼にしてもよいかもしれません。その他のターンテーブルや照明機材等も5万円程度で揃えられるでしょう。
シャッタータイミングを制御する「同時レリーズ プログラミング制御可能ソフトウェア」。こちらはプログラミングができる人なら、さほど難しい物ではないと思います。
となると、イニシャルコストは20万円程度にまで抑えられます。
写真の3D化は、既にそのようなソフトはいくつかフリーソフトとしても出回ってますよね。
あとは出力代行。ShapewaysやDMM3Dプリント等の出力代行サービスを使っての出力になると思われますが、これらのサービスを直接使うと、安くなるかもしれません。

以前当ブログでも紹介したイギリスのスーパー「Asda」で始まったフィギュアを作れるサービスは、1体40ポンド(約6,300円)程度だったので、やはり高くても1体(高さ20cm程度)10,000円でそれなりのクオリティが実現できれば、結婚式等の特定のシーンに限らず、もっと気軽に3Dフィギュアを作ってみよう!って気分になるのかもしれません。
造形出力価格は、市場の成長と共に確実に低価格化していき、またクオリティは日々進化し続けているので、このような市場のトレンドにおいて、どのタイミングで誰よりも早く綺麗なビジネスモデルを構築できるかにかかっていそうです。

グーグルの超絶プロジェクト「Tango」と3Dプリンティングの可能性

Googleが新しいプロジェクト「Tango」を発表しました。Tangoは当サイトでも先日お伝えした、元モトローラの研究開発部門ATAPが推進する野心的な取組で、スマートフォンで現実世界の空間を3Dマッピングして仮想体験を作り出そうとする壮大なプロジェクトです。
ATAPはあのマッドサイエンティスト(?)集団DARPAの元総責任者Regina Dugan(レジーナ・デューガン)氏が率いる先進的な研究開発部門。プロジェクトTangoは、ATAP(DARPA)がそうであったように、複数のテクノロジー企業や機関等において専門知識を有する人々を集約してコラボレーションにより進めていくプロジェクトとなっています。では肝心のプロジェクトTangoとは何なのでしょうか?Tangoは画面サイズ5インチ程度のAndroidスマートフォンで端末の加速度センサー等を活用して3Dモーションを追跡/スキャニングして、3D空間のマッピングを行います。例えばこれによりソファーやベッド等の家具を買いに出かける前に、スマートフォンで室内をスキャニングすることにより室内に配置されている家具やレイアウト等の寸法を測ることができ、お店で室内に合う家具を選ぶことができます。また空間のレイアウト等の情報をスキャニングして3Dマッピングすることにより視覚障害者等をサポートすることにも役立てることができます。その他にも、スキャニングされた3D空間を仮想現実のゲーム空間に活用することもできるのではないでしょうか。スマートフォンに搭載されるTangoのセンサはなんと秒間2億5000万以上の3Dの計測を行って、3Dモデリングを構築することができるそうです。
Googleのストリートビューで入っていけない空間等もこれらの機能により全ての空間データがデジタル化されて、ネット上に整理されるようになるかもしれません。例えば不動産情報等、現状であれば間取り図でしかなかった平面情報が3D空間としての情報におきかわるかもしれません。

では3Dプリンティングとの可能性はどうなのでしょうか?既に、スマホで3Dスキャニングができるアプリ123D CatchやTrimensional等が存在しますが、今後はスマートフォンに、3Dスキャニング機能が標準搭載されるかもしれません。携帯電話が登場した時に、カメラが実装されることを予測できた人はいなかったかもしれません。それが今ではカメラはもとより動画撮影や、アプリによって機能拡張されたスマホは画像や動画等のマルチメディアデータをオーサリングすることまでもが可能になっています。現状の3Dプリンティング市場においては、出力の為の3Dプリンターの進化は目覚ましいですが、出力する為のデータが不足しています。現時点では3D CADデータを作成できる人に限られている3Dデータの作成ですが、このようなデバイスが進化すると、スマホさえ持っていれば誰もがその辺にある実空間のオブジェクトをスキャニングすることにより、簡単にデータが作成でき、それらのデータはネットの空間を流通しはじめるかもしれません。位置情報等を活用して同じ地点のデータであれば、他人がスキャニングしたデータと合成して、完全な3Dモデルを作りあげることができるようになるでしょう。様々な人が同一の被写体を撮影した写真を、一つの3Dデータに合成する点においては、数年前にマイクロソフトが発表したPhotosynth等はイメージが近いかもしれません。
このような時代が来たときに、著作権等の考え方はどうなるのでしょうか?誰もが簡単にデータの複製ができるようになったとき、本当の意味でのオリジナルデータをつくることができる人が、大きな注目を集めることになるのかもしれません。次世代のスーパークリエイターや芸術家等は、こういうところに突如として現れるのかもしれませんね。