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3D PRINTSHOW 2013

日本国内でも2013年は3Dプリンターが大いに盛り上がったが、やはりこのような海外の動向を目にすると、日本はまだまだと思ってしまう。3Dプリンティングはアメリカの物、というようなイメージを持ちがちだが、以下の動画を見る限り、欧州でもかなり盛り上がっているように見える。3Dプリンティング技術は、今後数年で技術的な成熟を迎えると思われるが、そのような状況において、日本はどのような存在感を示すことができるだろうか。現時点では明らかに、日本は世界の3Dプリンティング市場からは遅れをとっていると思われるが、市場が成熟した時に、これらの技術を生かして、文化を生み出すのが得意なのが日本という国なのかもしれない。3D-PRINTSHOW-2013マンガやアニメ等の文化において世界の最先端を走る日本としては、このようなクリエイティブば領域においては、かなりの存在感を示すことができるようになるだろう。ただし、これはマンガ等をはじめとしたカルチャーが世界的に評価されているにおいての話だ。もしまた何かの新しい概念が現れた時に、日本としてどのような存在感がしめせるのかは現時点ではまだ誰にもわからない。しかしここ数年は、日本のカルチャーが3Dプリンティングに対して非常に親和性が高いことは間違いないだろう。

3Dプリンターで音楽を奏でる

今度はなんと、3Dプリンターで音楽を生み出してしまうプロジェクトが登場した。音楽を生み出すというのはちょっと飛躍した言い回しかもしれませんが、なんと3Dプリンターで実際に音が流れるレコードを作るプロジェクトが進んでいます。アメリカのサンフランシスコ在住の方が個人プロジェクトとして取り組んでいるのであるが、個人レベルでこのような取組を行ってしまうところが、アメリカのすごさなのかもしれない。以下の動画を見れば分かりやすいと思うが、音楽データから波形を読み取り、それを3Dプリンターでレコードとして出力している。
実際にレコードプレイヤーで再生すると、ちゃんと音楽が流れる。この動画を見ていると、レコードの原理がなんとなく理解できるかもしれない。さすがに家庭用の3Dプリンターでは不可能だが、ここまでの音質のレコードまでも作れてしまうのは驚きだ。実際に音楽が流れるレコードが作れるということは、それだけ3Dプリンターの品質が向上しているということだろう。音質が3Dプリンターの品質を表しているところが面白い。3d-printer-record
デジタルの進化やインターネットの普及により、音楽も全てデジタル化し、データ複製等が問題になったが、この取組は、デジタル化した音楽データを3Dプリンターでレコードにしてアナログ化するという逆の流れというのが面白い。そのアナログ音源の元データはデジタルデータということになるのだが。
音楽と3Dプリンターが結びつくということはあまりイメージできなかったが、今後も様々な想像もできない物を次々と3Dプリンターは作り出していくのかもしれない。

3Dプリンターのデータフォーマット

3Dプリンターで扱う為の3Dデータや3D CADデータには様々な種類があり、現在もっとも主流なデータフォーマットはSTLフォーマットだろう。たいていの家庭用3DプリンターでSTLファイルならそのまま読み込んで出力することができるが、STLファイルフォーマット以外にも、何種類かの3Dデータフォーマットが存在する。STL以外で有名なフォーマットは、PLYやOBJあたりだろうか。しかしそれ以外にも以下のようにたくさんのフォーマットが存在する。

STL/OBJ/PLY/OFF/3DS/COLLADA/PTX/V3D/PTS/APTS/XYZ/GTS/TRI/ASC/X3D/X3DV/VRML/ALN/DXF/GTS/U3D/IDTF/X3D

今後3Dプリンティング市場が拡大するにつれて、3Dスキャニングしたデータや、3Dデータ共有サイト等から入手したデータ、3D CGソフトで作成して出力したデータ等、流通経路によって様々なファイルフォーマットに出会うことがあるかもしれない。そんな時は、3Dオブジェクトデータの変換ソフトが便利だ。例えば無償ソフトのMeshLab等は、様々な3Dオブジェクトデータを読み込んで、様々なデータフォーマットに変換することができる。このソフトでSTLファイルに変換することができれば、たいていの家庭用3Dプリンターでの取り扱いが可能になる。
3Dプリンター市場が成熟していくにつれて、このような複数のデータフォーマットが存在する状況が整理され便利な環境が整うことを祈るばかりだ。

自作3Dプリンターのメリットとデメリット

近年家庭用3Dプリンターとして出回っている物として、完成版と、自分で組み立てる組み立てキット式の自作3Dプリンターの2たつがある。完成版はその名のとおり、購入したら組み立て等の必要もなくそのまますぐに使うことができる(ある程度のセッティング等は必要だが)。一方の組み立て式の自作3Dプリンターは、組み立てキットとして部品が届き、それを自分で組み立てて使う。主にRepRap開発のオープンソースを用いた物が多く、安価な物が多い。
自作の3Dプリンターは、必要最低限の部品で組み立てられているというとこもあり、プリンターの支柱やフレーム等がむき出しで外枠等はあまりなく、場合によっては必要なパーツ自体を、自身の3Dプリンターで出力してそれを用いたりもする。以下に、完成版3Dプリンターと、自作3Dプリンターのメリット/デメリットを簡単に記載する。

完成版3Dプリンター

  • メリット

・面倒な組み立て作業等がなく、購入後すぐに利用することができる。
・比較的動作等が安定しており、初心者等でも簡単に利用することができる。
・デザイン性に優れた物も多く、デスクトップ型としての取り扱いにも便利。

  • デメリット

・故障等が起こった際、分解等が困難な場合がある。
・自作3Dプリンターと比較して、価格が高い。
・利用できるフィラメント等が指定されている場合があり、コスト高になる場合もある。

 

自作3Dプリンター

  • メリット

・とにかく安い。安い物なら2万円を切る物もある。
・パーツ等を3Dプリンターで自作して、3Dプリンターをカスタマイズできたりもする。
・組み立て時に大枠の構造を理解している為、故障しても、原因等をつきとめやすい。
・フィラメント等の消耗品は、ある程度自由な物を使える。

  • デメリット

・組み立てが面倒。初心者にはハードルが高い。
・動作の安定性等に若干の不安あり。うまく出力できない時に、3Dプリンター自体の問題なのか、組み立て方の問題なのか、の問題の切り分けがしにくい。
・筐体等がむき出しな分、デザイン的に完成版の物よりは劣る場合がある。

 

このような特性を踏まえると、多少の知識等があり、少しでも安い3Dプリンターが欲しいなら自作の3Dプリンター。機械工学等の知見があまりないけど、いますぐ欲しくて手軽に使いたいのなら、完成版の3Dプリンター、となるのではないだろうか。
ここ最近は完成版の3Dプリンターもどんどん安くなってきているので、近い将来、組み立て式3Dプリンターはほとんど市場から姿を消すかもしれない。

3Dプリンターの原理と仕組み

3Dプリンターを購入して、実際に造形してみると、3Dプリンターの原理を理解できるが、話を聞いているだけでは、なかなかその原理を理解することは難しいかもしれない。ここ最近の3Dプリンターに関するニュースを見ていると、もはや3Dプリンターで作れない物はないと言っていいほど、なんでも作れてしまう。では、3Dプリンターの原理とはいったいどのようなものなのだろうか。昨今騒がれている家庭用3Dプリンターの造形方式としては、熱溶解積層方式と、光造形方式の二つがある。ではそれぞれの特徴を簡単に説明してみたい。

熱溶解積層方式

熱溶解積層方式とは、原料となるフィラメントをプリンターヘッド内で溶かして押し出し、それを何層にも重ねて造形していく方式だ。ここ最近の低価格な家庭用3Dプリンターは大半が熱溶解積層方式となっており、その理由としては、ABSやPLA等のフィラメント素材が比較的安価であるのと、特許が切れたとこにより、技術がオープン化されたことも大きい。最近では安い物だと2万円を切る3Dプリンター等も登場し始めているが、低価格3Dプリンターはほぼ全てがこの様式を採用している。

光造形方式

光造形方式は、紫外線を浴びると硬化する特性のある樹脂に、UV(紫外線)レーザーを当てて、樹脂の表面に造形物の断面を描いき硬化させ、この作業を繰り返して積層していくことにより立体物を作り出す。複雑え細かな物でも造形が可能であるが、値段が高く、また素材等に限りがありコストパフォーマンス的にも熱溶解積層方式に劣る。最近もっとも注目されている光造形方式の3Dプリンターと言えば、キックスターターで約3億円を集めたFormlabsのFORM1が有名だろう。

2013年は熱溶解積層方式の安価な家庭用3Dプリンターがたくさん登場したが、2014年は光造形方式の3Dプリンターがより安価に使いやすくなって市場に出回ることが予測される。今すぐ3Dプリンターを購入したい人なら熱溶解積層方式、もう少し様子をみたいという人なら、光造形方式が市場に出回るまで、もうしばらく待ってみても良いのかもしれない。ただし、この領域は日進月歩での技術進化が早いので、欲しいと思った時が買い時なのかもしれない。

Kinectで3Dスキャニングしてフィギュアを作るサービス「Shapify」

3Dスキャナー市場が熱い。マイクロソフトのキネクトを使って3Dスキャニングする方法は、これまでも様々な取組が行われ、例えばポータブル3Dスキャナーの製造販売を行うFARO社は、キネクトのモーションセンサー機能を活用し、3Dスキャナーとして利用できるアプリケーション「SCENECT」の無料提供等を行っている。そのようなキネクトの機能を活用して自分自身を3Dスキャニングし、3Dプリンターで出力してフィギュアを注文できるサービス「Shapify」が登場した。shapifyShapifyはキネクトさえあれば、利用が可能だ。Shapifyでアプリをダウンロードして、Microsoftの「Kinect for Windows SDK」をインストールするするだけで準備は完了。KinectをPCに接続したら、あとはスキャニングするだけ。キネクトの配置位置等には工夫が必要だが、スキャニングしたいポーズをとり、自分自身が回転する。通常の3Dスキャナーだと、被写体は固定で3Dスキャナーが動くが、Shapifyの場合は逆に被写体が回転する必要がある。回転しながら45度毎に撮影するとデータが完成。このデータの出力価格が約6,000円。最近よくある「3Dスキャニング⇒フィギュア作成」のサービスが通常5万円程することを考えると、この価格は魅力的だろう。shapifyスキャニングのコツさえつかめれば、以外と高品質なフィギュアが作れるかもしれない。
キネクトを使って、自分で3Dスキャニング。スマホでの2013年のトレンドとして、自撮りが流行っているらしく、その行為をselfie(セルフィー)と言い、「Selfie」はオックスフォード辞典の「2013年の単語」として選ばれたほどだ。それのもっと先を行く自撮りフィギュア。この行為を「Selfigure」と名付けてみたい。Selfigure=自撮りフィギュア。2014年にもしバズれば、この語彙の発案者は、3D CAD DATA.COMということでどうかよろしくお願いいたします。

3Dプリンターで心臓を作る

医療の領域において3Dプリンターの技術が活用される話はよく耳にするが、今度は3Dプリンターで心臓を作る研究が進んでいるという話が出てきた。
現在の3Dプリンティング技術によって実現可能という訳ではなく、10年後に3Dプリンターを使って心臓を造形し、臓器移植が可能になるとのことらしい。このプロジェクトに取り組んでいるのは、米国の心循環系イノベーション研究所の所属するスチュアート・ウィリアムズ氏。3Dプリンター技術を用いて心臓を構成する心筋や血管等を造形し、実際に移植可能な心臓を作ることを目指している。将来的に、人工の臓器というのはいずれ登場するであろうことは想像できるが、それの実現方法が3Dプリンティング技術ということなのかもしれない。再生医学の分野においては、3Dプリンティング技術というのは、一つのアプローチとなるのか、もしくは本命のソリューションとなるのか。
心臓の3Dプリンターによる造形は、ある意味で究極の目標なのかもしれないが、医療の領域において様々な3Dプリンティング技術が活用され始めている。例えば、3Dプリンターで細胞をプリントアウトしするセル プリンターというものもある。このセル プリンターでは肺胞を造型することができる。その他にも、骨等を3Dプリンターで造形することは、イメージしやすいかもしれない。これらのバイオプリンターと名付けられたプロジェクトは、医療の在り方を大きく前進させるかもしれない。人間が想像できることは、いつか必ず実現できる、とよく言われるが、もしかすると脳等が3Dプリンティング技術によって造形することができるようになれば、どのような未来がやってくるのだろうか?

ブラウザで利用できる簡単3DCG作成ツールをAutodeskが発表

家庭用3Dプリンター普及の要素の一つとしてあげられる3D CADデータの作成において、今後は、ネイティブなアプリで専門技術を習得したクリエイターが作成するデータと、初心者でも簡単に作れるブラウザベースのツールという二つに大別されていくのかもしれない。Autocad等のCADオーサリングソフトで有名なオートデスク社が、家庭用3Dプリンター普及の為に積極的な展開を行っている。今回Autodesk社は、Webブラウザ上で無料で利用できる基本利用無料の3DCGツール「Project Shapeshifter」の提供を開始した。shapeshifter「Project Shapeshifter」はWebGL技術を使用したWebブラウザベースの3Dモデリングツール。WebGLとは、ウェブブラウザ上で3次元コンピュータグラフィックスを表示させるための基本的な標準仕様。特別なプラグインなしで利用環境等に依存することなく利用できるのが特徴。作成した3DモデルをOBJファイルとしてダウンロードできる為、そのまま3Dプリンターで出力できる。STLフォーマットのサポートはどのようになっているのだろうか?対応ブラウザは、GoogleChrome/FireFox等。今後、このような初心者でも簡単に3Dプリンター用のデータが簡単に作れるソフトウェアやツールはたくさん登場してくると思われる。

3Dプリンターのデータが手に入る国内のサービス

家庭用3Dプリンターを購入したら、次に必要となるのは出力するための3D CADデータだ。個人でCADデータを作れる人もいるかもしれないが、大半の人は思った通りに3DのCADデータを作ることは困難かもしれない。そんな時にありがたいのが、3Dプリンター用のデータをダウンロードすることができるサイトだ。海外ではThingiverseが有名だが、国内にはどのような3Dプリンター用のデータ提供サービスがあるのかをまとめてみた。

3D CAD DATA.COM

当サイトが提供する、家庭用3Dプリンター向けのSTLファイル提供サービス。提供するデータフォーマットは、STL形式のみなので、ダウンロード後にデータフォーマットの変換等の必要もなく、すぐに出力することができる。オススメのデータは、Suggestionsコーナーで紹介されているので、まずはオススメデータからの出力を行うのも良いだろう。また、ハイクオリティーなデータを投稿するユーザーには、スーパークリエイター認定の制度があり、スーパークリエイター認定されたユーザーは、Gumroadを利用して、STLファイルを販売することもできる。みなさん、どうかご利用よろしくお願い致します。

 

SHAREDMESH

使える、遊べる、楽しめるをコンセプトにした、3Dプリンター用データの提供サイト。有料のデータ販売が基本となっているが、無料のデータ提供等も行っている。数百円程度のお手頃価格であるところもうれしい。

 

3D-P

投稿されているデータは、ビューワーでぐりぐり回せて表示確認できるのがうれしい。今後、サービスに追加を検討している機能は、投票により検討するなどの仕組みもユニーク。エッフェル塔やティラのサウルス等のデータは、一度ダウンロードして出力してみたいところ。

 

tecshar

モノづくりレシピを提供するサイト。電子工作やDIY、イラストやデザイン等の制作に関するノウハウをTIPS形式で提供。その中の一つのコーナーに、3Dプリンターで出力することのできるデータを提供している。

 

DELMO

フィギュアデータに特化した共有サービス。当初は、2013年8月下旬にオープンという発表が8月上旬にあったが、その後、9月⇒10月⇒11月とサービスオープンが延期しており、現時点でもまだオープンしていない。オープンが待ち遠しいサービスである。

 

Model Wave

自作の3Dデータ等を、売る/買うができるサービス。トヨタ2000GT(MF10)前期型等、魅力的なデータも。提供ファイルフォーマットは、MAX/LWO/SHD/3DS/DXF/OBJ。優良データの販売が基本となっているが、無料のデータ提供等もおこなっており、無料データはサービス登録無く利用することができる。照明器具、乗り物、家具、電化製品等の3Dデータ等を提供している。

金属を造形できる家庭用3Dプリンターが75,000円で登場

3Dプリンターで造形される物の一つに、アクセサリーがある。アクセサリーだと、材質は金属の物をイメージするが、現状の家庭用3Dプリンターでは金属の出力は困難で、ABSやPLAのプラスチック素材が主な物となっている。もし金属でアクセサリーなどを出力したいのなら、ShapewaysやDMM等の出力代行サービスを使うしかなかった。しかし、金属を材料にして造型できる家庭用の3Dプリンター0がIndie GoGoに登場した。金属出力が可能となると、高価になるのでは?と気になるところだが、価格は75,000円。MiniMetalMaker
MiniMetalMaker(ミニ・メタルメーカー)と名付けられたこの家庭用3Dプリンターは、メタルクレーと呼ばれる金属を素材として利用する。使える金属素材は、シルバーや真鍮、ブロンズやスチール等、種類も多い。金属製品やアクセサリーの製造方法は様々な物があるが、3Dプリンターでアクセサリーを作るという方法は、今後一つの手法として確立するかもしれない。組み立てキットは75,000円。完成品だと10万円となっている。